8日、ロボット焰究所で、来店客を温かく迎えるバイオニックヒューマノイドのバーテンダー「ヒル」(手前)と「小柒(シャオチー)」。(北京=新華社記者/鞠煥宗)
【新華社北京8月12日】中国北京市で初のロボットがテーマのレストラン「ロボット焰究所」が8日、営業を開始した。完成度の高いロボット20種類以上が配置され、ホログラムの案内表示がSF的雰囲気を高める店内は、光と影が交錯し、随所でロボットと出会うことができる。
料理を待つ間は、配膳や片付けをするロボットが忙しく動き回る様子を眺めて楽しむことができる。廊下の奥には宋の政治家・文学者、蘇軾(蘇東坡)や唐の詩人、李白を模したバイオニックヒューマノイドと会話を楽しめる空間があり、近くでは科学者のニュートンが料理や調理に応用される科学原理を解説し、電磁気学やエネルギー保存の法則などの理論を分かりやすく紹介していた。
メニューと料理は特別に設計されており、注文用のメニューは「制御する食事システム」と呼ばれている。煎餅(ジェンビン、中国風クレープ)や串焼き、コーヒー、ミルクティーなどの軽食やドリンクは、全てロボットシェフが調理する。
8日、ロボット焰究所でトークショーを行うバイオニックヒューマノイドの「蘇軾」と「李白」。(北京=新華社記者/鞠煥宗)
テクノロジーを駆使した料理には、数々の技術革新の物語が秘められている。「煎餅ロボット」を例にとると、ロボットアームが生地を広げ、裏返し、調味料を加えて巻き上げるという一連の動作は簡単そうに見えるが、研究開発担当者らが数年がかりで実現させており、数千枚の図面作成、100件以上の特許出願、約1万個の部品のテストを経て、人に近い熟練度と安定した品質にたどり着いた。また、自動化設備を使った製造・販売は飲食業界の新業態にあたることから、法令を遵守した営業や今後の普及には行政と企業の連携、規制試行の新たなモデルの模索など水面下での支援も欠かせなかった。
8日、ロボット焰究所で、客席を盛り上げるロボットバンド。(北京=新華社記者/鞠煥宗)
レストランを運営する北京亦荘機器人科技産業発展の副総経理で、レストランの責任者を務める孫玲(そん・れい)氏は「ここは単なるレストランではなく、中国のロボット産業が飲食サービス分野で集中的に実用化したモデル事例だ」と紹介。ロボットの研究開発は「高精尖(高度・精密・先端)」技術の集大成だが、研究開発以上に難しいのは商業化だと率直に話した。今後については、革新的なプラットフォームとしての役割を果たし、より多くのロボット企業に実証やデータ収集の機会を提供することで、「面白い」「見栄えが良い」から「本当に使える」ものへ進化させたいとし、未来の暮らしがすでに始まっていることを人々に間近に感じてもらうのも重要な意義の一つだと語った。