
海南省瓊海市の更路簿博物館で、更路簿のコピーを整理する王振忠さん(左)と王書保さん。(7月22日撮影、瓊海=新華社記者/程婷婷)
【新華社海口8月8日】中国ではかつて、南中国海に向け航海する全ての船長にとって「南海航道更路経」は必携の航海の手引きだった。これは口伝や手書き写本で伝えられてきた航海術の知識体系で、一般には「更路簿」または「更路伝」と呼ばれ、2008年に中国の国家級無形文化遺産に登録された。海南省瓊海(けいかい)市の長い歴史を持つ漁港、潭門港の近くには更路簿博物館がある。
海南省瓊海市の更路簿博物館で、来館者に解説をする王書保さん(右から3人目)。(7月31日撮影、瓊海=新華社記者/張麗蕓)
館長の王振忠(おう・しんちゅう)さんは漁船の船長の家に生まれ、祖父と父は南中国海一帯に多くの航跡を残してきた。父親の王書保(おう・しょほう)さんは、40年余りの航海生活を終えた後、羅針盤と航海簿を息子の振忠さんに手渡し、「これを陸に上げて並べ、若い人が理解できるように見せてあげてくれ」と告げた。これを受け、振忠さんは博物館建設と展示に着手。代々受け継がれた更路簿や羅針盤、古地図、海底から引き揚げた陶磁器などを一つ一つ陳列した。開館後、更路簿博物館には多くの人が訪れている。
海南省瓊海市潭門鎮に浮かぶ漁船から、遠くを眺める王書保さん(右)と息子の王振忠さん。(7月22日撮影、瓊海=新華社記者/張麗蕓)
今では書保さんも、息子と共に来館者に解説を行うことが多く、満足そうな表情を浮かべながら「当時は、更路簿のおかげで無事に家に帰ることができた。今はもっと多くの人に更路簿と、私たちの南中国海の物語を知ってもらいたい」と語った。(記者/張麗蕓、程婷婷)
海南省瓊海市の更路簿博物館前に座る王書保さん。(7月22日撮影、瓊海=新華社記者/張麗蕓)
海南省瓊海市の更路簿博物館で、来館者に解説する王書保さん(左)。(7月31日撮影、瓊海=新華社記者/張麗蕓)

海南省瓊海市の更路簿博物館で、更路簿のコピーを整理する王書保さん。(7月22日撮影、瓊海=新華社記者/程婷婷)
海南省瓊海市の更路簿博物館を見学する来館者。(7月31日撮影、瓊海=新華社記者/張麗蕓)
海南省瓊海市の潭門港を航行する漁船。(7月22日、ドローンから、瓊海=新華社記者/張麗蕓)
海南省瓊海市の更路簿博物館で、自身のコンパスと古い羅針盤の指す方位を見比べる来館者。(7月31日撮影、瓊海=新華社記者/張麗蕓)
海南省瓊海市の更路簿博物館で、来館者に解説する王書保さん(奥)。(7月31日撮影、瓊海=新華社記者/張麗蕓)