長沙の靖港古鎮で開かれたナイトショー「花開靖港」。(5月30日撮影、長沙=新華社配信)
【新華社長沙8月8日】中国湖南省張家界市の天門山風景区は日が沈むと徐々にその姿を変えていく。まばゆいライトが山全体を照らすと999段の登山階段が色彩豊かに彩られ、荘厳な天門洞が光の中で神秘さを際立たせる。
メキシコ人観光客のオルベラさんは幾度もカメラのシャッターを切りながら「夜の天門山もこれほど素晴らしいとは思ってもみなかった」と感慨深そうに語った。日中の酷暑を避け午後から訪れたことで、偶然にも光と影が織りなす美しい景色に出合えたという。
風景区マーケティング部の丁雲娟(てい・うんけん)アシスタントマネージャーは、この夏の記録的な暑さから高地での避暑がブームとなり、多くの観光客が天門山へ涼みに訪れていると紹介。日没後までゆっくり過ごす人も少なくないとという。風景区は観光客の安全確保と体験向上のため、夜間ライトアップを実施し、涼しい山の風と華やかな光の中で、普段とは違う張家界を感じられるようにしていると語った。
ライトアップされた湖南省張家界市の天門山。(7月16日撮影、張家界=新華社配信)
風景区では連日観光ピークが続いており、1日の平均来場者数は3万人近くに達している。「天門洞の夜間観光」が風景区の新たな見どころとなった。
本格的な夏となり中国各地で気温の高い日が続く中、暑さと強い日差しを避けて夜間に外出する観光客が増えており、「昼間は休み、夜に出かける」という新しいトレンドが生まれている。
湖南省の多くの観光地や街区では、趣向を凝らした夜間のイベントが次々と打ち出されている。市民や観光客は夜にショーを観賞し、夜景を楽み、グルメに舌鼓を打って、独特の雰囲気を満喫している。
夜の文化施設や博物館もにぎわいを見せている。長沙博物館は8月中、毎週月曜日の休館日を除き、通常午後5時に閉館のところ、午後8時半まで開館時間を延長している。より多くの人が来館できるよう、夜間チケットを毎日2千枚増やしているという。
張家界市で行われたショー「魅力湘西」を観覧する観光客。(7月26日撮影、張家界=新華社配信/呉勇兵)
旅行サイトによると、7月に入ってから「夜間観光」関連の検索数やコメント数が顕著に増え、週末ごとに検索のピークを迎えている。今や観光・レジャー活動は昼間から夜へと広がり、午後6時から10時が経済活動の最も活発な「夜間経済の黄金の4時間」となった。
湖南省観光協会の陳伏姣(ちん・ふくこう)副会長は、没入型の夜間観光や夜間のショーといった多様な業態が、夜間消費をますます魅力的にしていると指摘。「自然の景観から古い町並み、文化施設に至るまで、夜間観光は消費をけん引し、体験を向上させる新たなエンジンになっている」と語った。(記者/張格)