中国外交部。(北京=新華社記者/李賀)
【新華社北京7月12日】中国外交部の報道官は12日、フィリピン外務省が「南中国海仲裁裁定」から9年にあたり声明を発表したことを受け、南中国海における中国の領有権と海洋権益は「裁定」の影響を受けることはないと強調した。
報道官は次のように述べた。中国の「南中国海仲裁裁定」問題に対する立場は一貫しており明確で、「裁定」は違法で無効、拘束力を持たない紙切れである。中国はいわゆる「裁定」を受け入れず、認めず、「裁定」に基づくいかなる主張や行動も受け入れない。南中国海における中国の領有権と海洋権益は、いかなる状況であっても「裁定」の影響を受けることはない。改めていくつかの点を強調したい。
第一に、「南中国海仲裁裁定」は国際法の基本原則に違反している。フィリピンは一方的に「仲裁」を提起し、事前の十分な意見交換という必要な前提を履行せず、協議を通じて紛争を平和的に解決するという中国とフィリピンの共通認識に反し、直接当事国による友好的な協議・交渉を通じた紛争の平和的解決を定めた「南中国海各国行動宣言(DOC)」にも違反している。「合意の順守」や「禁反言」などの国際法の基本原則にも背いている。
第二に、「南中国海仲裁裁定」は国連海洋法条約に違反している。陸地の領有問題は条約の管轄範囲に含まれない。海洋境界の画定問題について、中国は2006年時点で強制仲裁などの手続きを明確に除外していた。フィリピンが中国の声明を無視し、敢えて「仲裁」を提起したことは国連海洋法条約の紛争解決メカニズムの乱用にあたる。「仲裁廷」は権限を超えて審理を行い、中国が条約締約国として紛争解決方法を自主的に選択する権利を侵害した。その行為は条約の目的と趣旨に完全に反し、条約の完全性と権威性を著しく損ない、国際海洋法の法治にも深刻な衝撃を与えた。国際司法裁判所の元院長や国際海洋法裁判所の元判事など、国際的に権威ある多くの法学専門家も「裁定」に重大な誤りがあると考えている。
第三に、「南中国海仲裁裁定」は南中国海の基本的事実に背いている。「仲裁廷」による事実の認定と適用は法的に重大な欠陥があり、「裁定」は明らかな誤りがあり、矛盾や欠落に満ちている。「裁定」は、50万平方メートルの面積を持つ南沙群島で最大の島「太平島」を島ではなく岩礁と認定し、さらに南沙群島に排他的経済水域や大陸棚を生じさせる島しょ・岩礁は一切存在しないと判断した。これは条約の規定にまったく合致していない。この「基準」に従えば、多くの国の主張がすべて違法とされ、世界の海洋秩序は書き換えられることになる。
中国は、南中国海のその他の当事国と協議による紛争の平和的解決に努め、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国と共に南中国海各国行動宣言を全面的かつ効果的に履行し、「南中国海行動規範(COC)」の早期策定実現を推し進め、南中国海の平和と安定の擁護のために強力な制度的保障を提供してきた。われわれは関係国に対し、違法な「裁定」という紙切れを持ち出して問題にするのをもうやめるよう忠告する。ましてや、これを口実に権利侵害や挑発行為を企ててはならない。結局は損をして得るものがなく、報いを自ら受けることになる。