中国・吉林省通化市档案館、東北抗日聯軍指導者・楊靖宇の貴重な日本語訳文書公開

中国・吉林省通化市档案館、東北抗日聯軍指導者・楊靖宇の貴重な日本語訳文書公開

新華社 | 2025-07-04 12:37:45

通化市档案館が所蔵する楊靖宇の手帳に関する公文書の表紙。(長春=新華社配信)

 【新華社長春7月4日】中国吉林省通化市档案館(公文書館)は3日午前、1931年の九・一八事変(柳条湖事件)以降の中国東北地域で東北抗日聯軍の第一路軍総司令として活躍した楊靖宇(よう・せいう、1905~40年)の手帳の日本語訳文書を初めて公開した。楊靖宇の功績と東北抗日聯軍の歴史を研究する上で、新たな重要実物証拠となる。

 今回公開された文書は、同館所蔵の「偽通化省偽満洲国政権時期档案」一式に含まれていたもので、40年3月16日に偽通化省の警務庁長・岸谷隆一郎が柳河県警務科長に宛てた特別機密文書。40年2月23日、楊靖宇が殉国した後で携帯していた手帳が日本の偽軍隊・警察に押収され、その内容は日本語に翻訳された。

楊靖宇の手帳の日本語訳文書。(長春=新華社配信)

 同館の張艶楓(ちょう・えんふう)館長によると、この文書の訳文は全13ページにわたり、11項目の核心的内容が含まれている。楊靖宇は手帳の中で、時局と国際情勢について詳細な戦略分析を行い、独ソ不可侵条約に関する内容を記録、分析し、東北抗日聯軍の連絡の時間や場所、合図旗などの連絡方法、部隊の戦闘犠牲者および傷病者の状況を記録し、さらに特務隊の冬季活動計画、東北抗日聯軍の装備、弾薬の数量なども記録していた。

 張氏は「この文書は偽通化省警務庁から出されたもの」と指摘した上で、「残念ながら、手帳の原本はいまだに見つかっていない。考証の結果、この文書は楊靖宇の手帳の現存する唯一の翻訳文書であることが確認された」と述べた。

楊靖宇の手帳の日本語訳文書。(長春=新華社配信)

 通化市党史研究室の馬会鳳(ば・かいほう)副主任によると、手帳の翻訳文書の内容には具体的な日付の記載はないものの、内容から判断して記録された時期はおおよそ39年9月から10月ごろとみられる。専門家は、手帳に記されていた楊靖宇の「ドイツとソ連の条約締結後、欧州には戦争の危機が差し迫る」との予測や、「日本軍の国際的に孤立した立場」という分析からは、楊氏の国際的な視野と戦略的思考がうかがえると分析。また、東北抗日聯軍の部隊の詳細に関する正確な記録は、極限状況下で東北抗日聯軍が行った闘争の実態に迫るための重要な史料になると評価した。

 2025年は中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年であり、楊靖宇の生誕120周年、殉国から85年に当たる。(記者/張博宇)

楊靖宇の手帳の日本語訳文書。(長春=新華社配信)

楊靖宇の手帳の日本語訳文書。(長春=新華社配信)

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