フォアグラ産業が地域振興の力に、日本などへも輸出 中国山東省臨朐県

フォアグラ産業が地域振興の力に、日本などへも輸出 中国山東省臨朐県

新華社 | 2025-06-30 10:06:30

フォアグラ製品を仕分けし、袋詰めする山東春冠食品の従業員。(資料写真、濰坊=新華社配信)

 【新華社済南6月30日】中国山東省濰坊市臨朐(りんく)県蔣峪鎮にある山東春冠食品のフォアグラ加工工場では連日、清潔な身なりの従業員たちが、日本や韓国などへ出荷するフォアグラ製品を手際よく仕分け、袋詰めしている。

 同社の馬立君(ば・りつくん)総経理は「わが社が開発・生産した赤ワインブルーベリーフォアグラやアイスクリームフォアグラなどの新製品は、北京、上海、広州、深圳の各市、香港やマカオ地区でよく売れているほか、欧州や東南アジアの多くの国にも輸出されている。昨年、わが社のフォアグラ生産量は1600トンを超え、売上高は約4億元(1元=約20円)に上った」と述べ、会社は合作社(協同組合)の設立を通じて、六つの養殖場と78の家族経営農場が共に豊かになるよう後押ししてきたと紹介した。

 沂蒙(ぎもう)山地に位置する臨朐県は、中国の重要なランドガチョウ養殖拠点となっており、現在は年間500万羽のランドガチョウを出荷、フォアグラの年間生産量は5千トンを超え、国内市場の7割、世界市場の2割を占め、年間生産額は80億元を上回っている。

 同県農業農村局の魏淑娟(ぎ・しゅくけん)局長によると、ランドガチョウはフランス・ランド地方原産で、そのフォアグラは滑らかな食感と豊かな味わいで知られる。同県は森林や水の資源が豊富で、ランド地方と気候条件が似ており、ランドガチョウの飼育に適しているという。

ランドガチョウの養殖場を訪れ、安全リスクの洗い出しをする電力供給会社の職員。(資料写真、濰坊=新華社配信)

 1980年代末、同県はフランスから最初のランドガチョウを導入した。それから30年以上にわたり養殖に取り組み、今では育種、養殖、加工、販売、研究開発を統合したランドガチョウの全産業チェーンが形成されている。

 フォアグラ産業の規模拡大と強化のため、同県はガチョウ産業協会を設立し、「協会+(プラス)企業+合作社+生産拠点+農家」という発展モデルを確立。さらに、ガチョウのひな・飼料、技術指導、防疫消毒、食肉加工、買い戻し・販売という「五つの統一サービス」を実施することで、農家の雇用と増収の促進に加え、生産地からの品質管理や全工程にわたるトレーサビリティーを実現させた。

 同県はここ数年、中国農業科学院、中国海洋大学、江南大学などの研究機関や大学と積極的に連携し、ランド種ガチョウを中国の環境に適応させる品種改良に取り組んでいる。また、政策指導を強化し、複数の大手企業の発展強化を後押ししており、現在では県内のフォアグラ関連企業は105社に上り、6千人以上の雇用を生み出している。

 魏氏によると、同県のフォアグラ関連企業は現在、国内の販売体制を意欲的に整備しているほか、日本や欧州連合(EU)などに安定した販売ネットワークを構築している。さらに、自社開発製品を次々と発売してフォアグラ製品を高級レストランから一般家庭の食卓にも広く普及させつつある。(記者/王志)

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