上海湾区ハイテク産業開発区で始まったレクサスEV工場の建設工事。(上海=新華社配信)
【新華社上海6月30日】トヨタ自動車は27日、中国上海市金山区の上海湾区ハイテク産業開発区で、高級車ブランド「レクサス」の工場建設を開始した。2027年の稼働予定で、電気自動車(EV)やバッテリーを生産する。当初の生産能力は年間約10万台を見込む。
トヨタは上海工場を「環境保全型産業チェーン」の実証拠点と位置づけ、純電気自動車(BEV)の生産に加え、全固体電池の研究開発や水素エネルギーの応用、バッテリーリサイクル技術の導入に取り組む。
今年4月22日に上海市とトヨタが戦略協力協定、金山区とトヨタ中国が協力覚書にそれぞれ調印して以降、わずか2カ月余りでの工場着工となった。
上海湾区ハイテク産業開発区で始まったレクサスEV工場の建設工事。(上海=新華社配信)
野村東方国際証券の劉佳(りゅう・か)アナリストは、中国は世界最大の新エネルギー車販売市場であり、24年は世界の約7割を占めたと説明。中国の成熟したEVサプライチェーンと先進的なスマート開発が、世界の自動車大手の対中投資拡大を促していると指摘した。
商務部国際貿易経済協力研究院がこのほど発表した報告書「中国の海外多国籍企業」は、経済のグローバル化が深い調整局面に入る中、中国は全方位的、多次元的な戦略的優位性により多国籍企業の有望な投資先になりつつあると指摘。外国企業が中国に設立した企業の数は24年末時点で累計123万9千社を超え、実行ベースの外資利用額は20兆6千億元に上ったと紹介した。
上海市金山区投資促進弁公室の江菊旺(こう・きくおう)主任は、同区は伝統的な自動車産業の中心地ではないものの、 長江デルタの交通・物流の要に位置する地の利を生かし、部品の集積地や研究開発センター、上海のスマートドライブ関連を結び付ける拠点になり得ると指摘。こうした1時間供給圏により、トヨタは生産の主要工程において調達の現地化を実現できるようになると語った。(記者/趙逸赫)