中国最古の炒鋼製医療用針、海昏侯墓から出土

中国最古の炒鋼製医療用針、海昏侯墓から出土

新華社 | 2025-06-26 14:56:02

 海昏侯墓から出土した玉管と鋼鉄の医療用針。(南昌=新華社配信)

 【新華社南昌6月26日】中国江西省文物考古研究院はこのほど、同省南昌市にある前漢時代の諸侯墓、海昏侯劉賀(りゅう・が)墓から出土した針状の金属が、銑鉄を溶かして鋼鉄にする「炒鋼法」によって作られた最古の医療用針であることを最新の考古学調査で確認したと明らかにした。当時の医療機器の材質や形状の変遷を直接示す史料は中国における鍼灸の発展を研究する上で極めて重要な意義を持つ。

 発掘チームを率いる楊軍(よう・ぐん)氏によると、医療用針は墓の内棺に納められていた金漆木箱内の玉管から見つかった。埋葬環境の影響により、保存状態は悪く、複数のさびた断片となっていた。楊氏は「玉管の断面に少なくとも5本の針状物を確認できるが、引き出せるのは1本だけで、何本かは破断した状態で中に残っている。表面の付着物には泥状の織物が含まれている」と説明。清潔さと持ち運びしやすさのために針状物を布で包んで玉管に入れたと考察した。

 海昏侯墓内の金漆木箱内にあった出土品。(南昌=新華社配信)

 文化財保全のため、研究員らは針状物を全て取り出さず、玉管の残片の一部と、保存処理過程で玉筒から抜けた針状物の断片のみを対象に検査や分析を実施し、断面の直径が0・3~0・5ミリの炒鋼製品と確認した。

 北京大学国学研究院の王楚寧(おう・そねい)博士は、出土した「九針具一」と書かれた札により、この針が医学書「黄帝内経」に記載のある九針の一つで、明らかに医療用だと話した。針の太さは現在の鍼灸針に近いという。

 海昏侯墓の内棺に納められていた金漆木箱。(南昌=新華社配信)

 中国中医科学院中国医史文献研究所の周琦(しゅう・き)副研究員は「一般的な鉄鍼はさびやすく、繰り返し人体に刺すと感染症を起こしやすい。金製や銀製の針は柔らかく容易に折れるため、細く仕上げるのが難しい。一方、鉄鍼は臨床現場でさまざまな治療に用いることができ、保管もしやすい」と指摘。今回の出土は鍼灸発展史における重大な発見であり、医療用針が石製から金属製へと質的に変化したことを裏付けるとの見解を示した。

 同院中医文献研究室の顧漫(こ・まん)主任によると、出土した医療用針はこれまでに発見された中国の鋼製医療用針の中で最も古く、前漢時代の鋼鉄冶金史と中国古代医学史における重要な史料となる。前漢時代には炒鋼法が中医鍼灸針の製造に用いられ、材料学の進歩が中医鍼用具の進化と鍼灸医学の発展を促してきた。(記者/袁慧晶)

 海昏侯墓から出土した玉管と内部にある鋼鉄の医療用針。(南昌=新華社配信)

 顕微鏡で見た針の超被写界深度画像。(南昌=新華社配信)

 海昏侯墓から出土した玉管と内部にある鋼鉄の医療用針。(南昌=新華社配信)

 海昏侯墓から出土した玉管と内部にある鋼鉄の医療用針。(南昌=新華社配信)

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