17日、輸出用サツマイモを収穫する村民。(海口=新華社記者/郭良川)
【新華社海口6月25日】中国海南省西部で栽培されるサツマイモが、科学技術の力で国際市場の扉を開こうとしている。昌江リー族自治県の南繁産業科学技術モデルパークでは地元の焼き芋を試食した来訪者が「甘くて筋っぽさが全くない」と絶賛した。
同省の農業テクノロジー企業、昌江広凌農業科技の朱子建(しゅ・しけん)常務副総経理によると、昨年12月以降、同社はカナダ向けにサツマイモ152トン、コンテナ7個分を輸出した。顧客からの評価も上々で、昌江産サツマイモの輸出が「ゼロからの脱却」を果たしたという。
海南、湖北両省の農業科学院の指導の下、同社は1800ムー(120ヘクタール)の産業拠点内に60ムー(4ヘクタール)の試験畑を設け、新品種34種の適応性試験を実施した上で優良品種3種を選抜して、栽培を進めている。地元特有の砂質乾燥土壌は、水はけと通気性が良く、海風が運ぶ天然の塩分と昼夜の寒暖差により、甘くホクホクしつつも適度にねっとりした独特の品質を生み出している。
貯蔵と輸送の課題に対応するため、同社は2022年に約500万元(1元=約20円)を投じて高温キュアリング処理技術を開発。選別、洗浄、キュアリング、冷蔵を一体化した標準化生産ラインを整備した。朱さんはキュアリング処理について「表皮が傷ついたサツマイモも、温度40度の環境下で7日間処理することで自然に保護層が形成される」と説明。同技術によりサツマイモの良品率は94・7%まで上昇し、棚もち期間も従来の1カ月から半年以上に延び、廃棄率も10%まで抑えられ、年間を通じた安定供給が可能となったという。
同自治県の農業部門によると、自治県内のサツマイモ栽培面積は約2万5千ムー(約1667ヘクタール)、年間生産高は2億3千万元で、省内のシェアは2割を占めている。(記者/黎多江、郭良川)
17日、梱包されたサツマイモをトラックに積み込む従業員。(海口=新華社記者/郭良川)
17日、カナダ輸出用に梱包されたサツマイモ。(海口=新華社記者/郭良川)