中国の科学者が主導する国際古生物学チーム、1億年前の昆虫寄生菌化石を発見

中国の科学者が主導する国際古生物学チーム、1億年前の昆虫寄生菌化石を発見

新華社 | 2025-06-25 17:18:00

「古蟻古線虫草」の光学顕微鏡画像。(南京=新華社配信)

 【新華社南京6月25日】中国科学院の南京地質古生物研究所は、同研究所が主導する国際古生物学チームがこのほど、ミャンマー北部のカチン州で採掘された約1億年前の琥珀(こはく)から、昆虫に寄生していた2種類の真菌(オフィオコルジケプス)の化石を発見したと発表した。アリに寄生していた「古蟻古線虫草」(Paleoophiocordyceps gerontoformicae)とハエに寄生していた「塔蝿古線虫草」(Paleoophiocordyceps ironomyiae)で、今回の発見は真菌と昆虫の共進化の解明に重要な証拠を提供したほか、オフィオコルジケプスの起源を従来の推定より約3千万年さかのぼらせた。

白亜紀のアリやハエ類、寄生性真菌オフィオコルジケプスが同じ生態系で共存していた様子を描いた復元イラスト。(南京=新華社配信/楊定華)

 研究を主導した同研究所の王博(おう・はく)研究員によると、オフィオコルジケプスは寄生性菌類の総称で、アリやハエ、甲虫、クモなどさまざまな節足動物に寄生し、冬虫夏草のような多種多様な「虫草」を形成する。しかし、菌類は硬い構造を持たず腐敗しやすいため、オフィオコルジケプスの化石は非常に少なく、起源と進化についてはほとんど知られていなかった。

 今回発見された二つのオフィオコルジケプスの化石は、菌類の形態構造が完全に残っていたことから現生種との直接比較が可能だった。マイクロCTなど高分解能の分析手法により、古蟻古線虫草が原始的なアリの一種のさなぎ、塔蝿古線虫草が白亜紀のハエの一種「Ironomyiidae」にそれぞれ寄生していたことを発見した。

「塔蝿古線虫草」の光学顕微鏡画像。(南京=新華社配信)

 研究チームはまた、現生「線虫草」120種の遺伝子データを収集、整理するとともに、新たな化石を基準点として「線虫草」各グループの系統発生関係を再構築し、起源時期を修正した。その結果について王氏は「線虫草の起源を従来の研究よりも約3千万年前倒しして、約1億3千万年前の白亜紀初期とすべきであることが示された」と語った。

 研究成果をまとめた論文は11日、英王立協会の科学誌「Proceedings of the Royal Society B:Biological Sciences」電子版に発表された。(記者/王珏玢)

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