天津大学ブレイン・マシン海河実験室で、脳卒中患者の運動障害改善を目的とするBMI下肢装着機器を調整する研究チームのメンバー。(4月1日撮影、天津=新華社記者/張宇琪)
【新華社天津6月18日】中国で今年4月、国内初となるブレイン・マシン・インターフェース(BMI)総合臨床試験院区の建設が天津市環湖医院天塔院区で始まった。天津大学ブレイン・マシン海河実験室と同院による協力事業で、脳卒中や脳性まひ、パーキンソン病、視聴覚障害などを対象に疾患スクリーニングや精密治療、スマートリハビリテーションなどの医療サービスを提供する。
天津大学副学長で同実験室執行主任の明東(めい・とう)氏は、双方は最先端の科学研究成果の実用化を点から面へ広げ、世界先端のBMI総合臨床試験病区を共同で構築していくと表明。次世代のブレイン・マシン・インタラクション(脳と機械の情報のやり取り)やブレイン・インスパイアード・インテリジェンス(脳型人工知能)の研究にも取り組み、中国のBMI技術の将来を支えていく考えを示した。
BMIは革新的なヒューマン・コンピューター・インタラクション(HCI)技術の一種で、脳の神経信号を収集し、特定の指令に変換する。脳に外部機器を接続することで脳と機械間の情報交換を可能にし、患者の身体機能の回復を助ける。
天津大学ブレイン・マシン海河実験室で、手の機能を補助するBMIリハビリテーションシステム「霊犀指」を試す研究チームのメンバー。(4月1日撮影、天津=新華社記者/張宇琪)
BMI技術は、脳に物理的に干渉するかにより非侵襲型と侵襲型に分類される。天津大学ブレイン・マシン海河実験室の主任助理、国家重点研究開発計画首席科学者の孟琳(もう・りん)氏は「身体に傷をつけない非侵襲型BMIの鍵となる技術分野において、天津大学は次世代のブレイン・マシン・インタラクションとヒューマン・マシン・インテグレーション(人と機械の統合)技術に焦点を当て、非侵襲型技術で先進的な優位性を持つ。有人宇宙飛行や医学教育、臨床リハビリテーションなど国の重要分野でインテリジェント機器の統合応用を実現している」と述べた。
孟氏は「技術とエコシステム、人材の三つが協調して力を発揮することで、BMI技術はより多くの携帯型やウェアラブル型のBMI機器へと広がる。消費者向けや医療向けなど、さまざまなスマートHCIの実用化に寄与する」と語った。(記者/張宇琪、楊文)