10日、山東省青島市の膠州駅で中欧班列を検査する膠州税関の職員。(青島=新華社記者/李紫恒)
【新華社青島6月13日】中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列」の75052号が10日午前、山東省青島市の膠州駅を出発した。液晶ディスプレーや冷蔵庫などの家電製品を満載した同列車は、17日後に欧州内陸部に到着予定という。中欧班列は2011年の開通以来の累計運行本数が11万本に達し、貨物輸送額は4500億ドル(1ドル=約143円)を超え、月間運行本数は61カ月連続で千本を上回った。
中欧班列の年間運行本数は2016年の1702本から24年は1万9千本に増え、年間貨物輸送額は80億ドルから664億ドルに膨らんだ。1万本の運行に要する期間は、運行当初の90カ月から現在は7カ月未満に短縮された。
中欧班列は中国において、西ルート、中央ルート、東ルートの3路線に分かれ、国内128都市がつながっている。海外では、沿線諸国とルートの多角化発展を進め、欧州26カ国の229都市、およびアジア11カ国の100都市余りを結んでいる。
国有鉄道の運営を担う中国国家鉄路集団傘下の中国鉄路済南局集団・済南鉄路物流センター膠州営業部責任者の高義田(こう・ぎた)さんによると、輸送貨物は衣料品、靴、帽子などから、電気自動車(EV)、リチウムイオン電池、太陽光発電製品という「新三様(新たな定番3品目)」や中国産の家電製品、ハイエンド設備などに拡大した。品目は日増しに充実し、輸送額も増加し続けており、輸送効率に対する要求も高まっている。
鉄道部門は近年、時速120キロで運行する中欧班列の1本あたりの車両数を55両、1回に輸送する貨物重量を3千トンに引き上げた。また、税関部門との緊密な連携により、鉄道の「快速通関」モデルを改善し、通関時間を半日前後から30分以内に短縮し、最速で数分での通関を実現した。
国家鉄路集団傘下で鉄道コンテナ輸送を担う中鉄集装箱運輸は、カザフスタン、ドイツなどに海外子会社を設立し、現地の鉄道、物流、港湾、貨物代理などの業者と実務的協力を深め、共同で往路・復路の貨物源の開発に取り組んでいる。現在、中欧班列の往路と帰路の運行はおおむね均衡が取れ、実入りコンテナの比率はほぼ100%を維持している。
中欧班列はアジアと欧州の内陸地域に新たな物流ルートを提供し、沿線諸国と地域は開放型の世界経済への融合を速めている。
スペインのワイン、オランダのチーズ、タイのドリアン、ラオスのバナナなどのアジアや欧州の特色ある製品は、中国人の日常にも溶け込んでいる。また、中国のコンシューマエレクトロニクス、新エネルギー車(NEV)、日用品なども、より速いスピード、より安い価格で欧州に運ばれている。
内モンゴル自治区二連浩特(エレンホト)は中欧班列の重要な通関地として、鉄道を柱とするクロスボーダー物流網を構築し、自動車部品、木材加工などの産業が集積している。ポーランドのウッチ、ドイツのデュイスブルク、スペインのマドリードなど、中欧班列の主な仕向地はインフラの改造を積極的に行い、関連産業の急速な発展をけん引してきた。
山東大学経済学院の李鉄崗(り・てつこう)教授は「効率的で安定、かつグリーン(環境配慮型)という独特の優位性により、中欧班列が地域の経済・貿易構造を根本から再構築している」と述べた。