若者たちの夢を育む黄酒 中国浙江省紹興市

若者たちの夢を育む黄酒 中国浙江省紹興市

新華社 | 2025-06-12 09:58:16

5月30日、醸造所「湯源元」の責任者王金金(おう・きんきん)さん(左)と国家無形文化遺産「紹興黄酒醸造技術」の省級伝承者、陳宝良(ちん・ほうりょ)さん(左から2人目)のもとで、黄酒の伝統的な醸造実習をする、浙江工業職業技術学院醸造技術専攻の学生ら。(紹興=新華社記者/鄭可意)

 【新華社杭州6月12日】中国浙江省紹興市出身で「85後」(1985~89年生まれ)の呉徽(ご・き)さんは、市内の倉橋直街で黄酒の派生品を扱う専門店「絵璟軒・浅巷仄澈(かいけいけん・せんこうそくてつ)」を経営している。趣ある名を持つ店から外を眺めると、黄酒ミルクティーや黄酒アイスクリームを手にした若い観光客が、川や通り、橋が織りなす水墨画のような風景に自然と溶け込んでいる様子が見える。

 呉さんはこの光景に深い感慨を覚えるという。10年以上前、伝統的な黄酒に興味を示す若者が珍しかった頃、ふとしたことから呉さんは、お茶と黄酒の融合が独特の味わいを持つことに気づいた。黄酒とさまざまな種類の茶葉との組み合わせを何度も試し、新しいスタイルのアルコール飲料「黄酒ミルクティー」を生み出した。商品は2014年にソーシャルメディアで爆発的な人気を博した。

5月30日、浙江省紹興市の倉橋直街にある黄酒の派生品を扱う専門店「絵璟軒・浅巷仄澈」で、新しいスタイルの米醸造酒を紹介する、運営会社の紹興絵璟文化創意市場部主管の尉韋媛(い・いえん)さん。(紹興=新華社記者/鄭可意)

 呉さんは会社を立ち上げ、現在、同市や上海市などで「絵璟軒」を20店舗近く展開している。伝統的な純穀物醸造の手法を守りながら、平均年齢30歳未満の若いチームが現代的な技術を取り入れ、花や果物の香りのする新しい醸造酒を開発した他、文化クリエーティブ製品も数多く生み出してきた。

 「昔ながらの酒」が新たな時代の立ち位置を探る上で鍵となるのは、間違いなく若者世代だ。

 紹興市東浦鎮にある黄酒文化をテーマにした小さな町「黄酒小鎮」の著名醸造所「湯源元」では、浙江工業職業技術学院醸造技術専攻の3年生、謝昊天(しゃ・こうてん)さんがクラスメートと共に、「湯源元」の責任者で無形文化遺産「紹興黄酒醸造技術」の伝承者である王金金(おう・きんきん)さんから黄酒の伝統的な醸造法を学んでいる。

5月30日、浙江省紹興市東浦鎮の黄酒小鎮にある醸造所「湯源元」で、クラスメートと花彫酒(黄酒の一種)の酒つぼ製作に専念する、同省杭州市出身の洪芳婷(こう・ほうてい)さん(左)。(紹興=新華社記者/鄭可意)

 謝さんは「若者が好む酒は、若者が作る必要がある」と語る。伝統的な黄酒よりもアルコール度数8度前後の発泡黄酒(スパークリング黄酒)が、同世代の間で非常に人気があることに気づいたという。

 醸造所では、杭州市出身で今年21歳になる女性、洪芳婷(こう・ほうてい)さんが、黄酒の一種である「花彫酒」の酒つぼ製作技術の継承に力を注いでいる。洪さんは「(酒つぼのデザインは)以前は祝祭や長寿を祝うといった要素が強かった。私たちは今、自らの創造性を発揮し、若者が好む表現を大胆に取り入れている」と紹介した。

 王さんは黄酒の発展について「技術や歴史、文化といったそれぞれの側面において具体的に行動していかなければならない。しかも、若者が担い手となって根をしっかりと守り、新しい枝を伸ばしていく必要がある」と語った。(記者/商意盈、黄筱、鄭可意)

5月30日、浙江省紹興市東浦鎮の醸造所「湯源元」で、王金金(おう・きんきん)さん(左から2人目)の指導を受けながら、醸造用に蒸すもち米を加える、浙江工業職業技術学院醸造技術学科の3年生、謝昊天(しゃ・こうてん)さん(左)。 (紹興=新華社記者/鄭可意)

5月30日、浙江省紹興市の倉橋直街にある、黄酒派生品専門店の黄酒アイスキャンディー。(紹興=新華社記者/黄筱)

5月30日、若者向けに開発した花彫酒(黄酒の一種)の工程を紹介する、醸造所「湯源元」の責任者で紹興黄酒醸造技術の無形文化遺産伝承者である王金金(おう・きんきん)さん。(紹興=新華社記者/鄭可意)

5月30日、浙江省紹興市の倉橋直街にある黄酒の派生品を扱う専門店「絵璟軒・浅巷仄澈」で商品を選ぶ観光客。(紹興=新華社記者/黄筱)

本ウェブサイトに関するご意見、ご提案等が

ありましたら xinhuanetjp@news.cn までご

連絡ください。