内モンゴル自治区包頭市の包頭希土博物館に展示されているレアアース鉱石。(2024年5月10日撮影、包頭=新華社記者/李志鵬)
【新華社北京6月11日】中国が最近新たに打ち出した一部のレアアース(希土類)関連品目に関する輸出規制が、幅広い注目を集め、さまざまな解釈を呼んでいる。一部の国のメディアは、これを中国が貿易摩擦の中で繰り出した「外交カード」「戦略的武器」と位置づけた。しかし、今回の政策強化をグローバルガバナンスの規範、中国自身の産業発展のニーズ、国際的な責任というマクロ的枠組みから捉え直せば、これらの措置は「中国が世界の主要な重要鉱物資源供給国として国際慣行との適合を積極的に図り、ガバナンスレベルを向上させ、大国としての責任を果たすための必然的な一歩である」というより公正で理性的な結論を導き出すことができる。最終的な目的は、戦略資源の持続可能な利用と世界の共同発展の実現にある。
中国の新たなレアアース輸出規制は、国際慣行と積極的に歩調を合わせており、核心的な法理はレアアースが持つ軍民両用(デュアルユース)の性質にある。軍民両用の性質が明らかな戦略資源に輸出規制を設けることは国際的な慣行であり、主権国家が自国の安全を守り、国際的な義務を果たすための正当な権利とされている。したがって、中国が法に基づき実施するレアアースの輸出規制は、特定の国に対する障壁ではなく、国際的な拡散防止義務を確実に履行し、無差別原則に基づき世界の平和と地域の安定を守る責任ある行動と言える。
青島港前湾港のコンテナふ頭に接岸する貨物船。(1月13日、ドローンから、青島=新華社配信/兪方平)
中国のレアアース規制を国際的な駆け引きという視点でのみ語るのなら、中国の産業が進めてきた自主イノベーションの根本的論理が覆い隠されてしまう。中国のレアアース産業はかつて、粗放型発展のジレンマに陥っていたが、2024年に公布されたレアアース管理条例は、中国のレアアース管理が法治化の新たな段階に進んだことを示し、業界規範の水準を向上させ、健全な産業を構築する中国の揺るぎない決意となった。中国は、改革を通じてレアアース産業の高品質で持続可能な発展を推進し、自国のエコシステムを保護するだけでなく、世界の産業チェーンに対してもより高い信頼性と透明性を持つレアアース供給基盤を築こうとしている。
中国はレアアース輸出を規範化する一方で、世界最大のレアアース生産・輸出国としての責任を明確に認識しており、国家の安全、産業の発展とグローバルサプライチェーンの安定維持との全体的なバランスを常に模索してきた。中国が目指しているのは輸出の禁止ではなく適正化であり、円滑かつ適法な貿易の促進であって、通常の商取引を妨げるためではない。中国商務部も「規定に合致する申請は法に基づき許可する」と繰り返し表明してきた。欧州連合(EU)などの懸念や提案に対しても、商務部の王文濤(おう・ぶんとう)部長は欧州側との会談で、適格な申請に対しては優先的に審査を行う方針を明確に示した。こうした前向きな対応や実務的な調整は、協力パートナーと共に規制措置が通常の貿易に及ぼす影響を抑えていこうとする中国の誠意と努力を十分に示している。
中米間の経済・貿易摩擦が激化し、重要技術分野が不当な封鎖に直面する中での中国によるレアアース輸出規制は、国際慣行の準則、自国産業の持続可能な発展ニーズ、大国としての責任の履行に基づく慎重な決定であり、国際法理や国内統治、国際的な責任など多面的な要素を考慮している。中国が求めているのはオープンで包摂的なルールに基づく国際協力の環境であり、ゼロサムゲームの悪循環ではない。「デカップリング」や「チェーン分断」への不安、「戦略的武器」という虚構にとらわれるのではなく、中国のガバナンス上の新規定を理解し、適応することに力を注ぎ、率直な対話と協力を通じて、この重要な資源が平和的で持続可能な枠組みの下で、引き続き世界の科学技術の進歩やグリーントランスフォーメーション(GX)に貢献するよう共に取り組むべきである。