5月30日、浙江省紹興市越城区東浦街道の黄酒小鎮で、手作りの酒かめ補修用工具「鎢鋼鐥子」(銅タングステン製の刃物)を見せる無形文化遺産工芸技術の職人、沈立陽(しん・りつよう)さん。(紹興=新華社記者/商意盈)
【新華社紹興6月11日】中国発祥の「黄酒」は最古の醸造酒の一つで、ビール、ワインと並び「世界三大古酒」と称されている。中でも浙江省紹興産の黄酒は最も有名で、香り豊かで味に深みがあり、各種微量元素も含む。紹興黄酒の醸造は、春秋時代に越の都が会稽(かいけい=現在の紹興)に置かれた頃から始まったとされ、その歴史は2500年以上に及ぶ。
国家級無形文化遺産「紹興黄酒醸造技術」の省級伝承者、陳宝良(ちん・ほうりょう)さんによると、紹興黄酒は精米した上質のもち米を原料に、紹興旧市街の鑑湖(かんこ)の澄んだ湖水を用い、228の工程を経て数カ月かけて醸造される。特に冬に仕込まれる「冬醸」は、紹興黄酒の中でも高級品とされる。同技術は2006年、第1次国家級無形文化遺産リストに登録された。
5月30日、川のほとりで酒かめ補修の伝統技術を実演する無形文化遺産工芸技術の職人、沈立陽(しん・りつよう)さん。(紹興=新華社記者/黄筱)
紹興黄酒は、地元の人々の人生の節目と深く結びついている。祝祭日では清明酒(4月5日前後の清明節に飲む酒)、端午酒(旧暦5月5日の端午節に飲む酒)、冬至酒(冬至に飲む酒)など、日常生活では新居祝いの酒、感謝の酒、豊作祝いの酒など、さまざまな習慣と飲酒が結びついている。会稽山中華黄酒博物館の楊国軍(よう・こくぐん)館長は「人生の節目に酒は欠かせない。黄酒は通常、常温で飲むが、冬になると地元の人々は温めて飲むことが多く、香りがいっそう引き立ち、体にも優しい」と話す。
紹興市の関係部門の統計によると、24年の紹興黄酒の一定規模(主要事業の年間売上高2千万元、1元=約20円)以上の企業による営業収入は37億2千万元、輸出額は1億3千万元で、主な輸出先は日本や韓国などだった。研究の結果、日本の清酒は中国の黄酒醸造法に起源を持ち、独自の技術を発展させたことが明らかになっている。(記者/商意盈、黄筱、鄭可意)
5月30日、浙江省紹興市の中国黄酒博物館でずらりと並んだかめに入った古酒。(紹興=新華社記者/鄭可意)
5月30日、浙江省紹興市越城区東浦街道の黄酒小鎮にある醸造所「瑞元呉記」で、1980年代生まれの醸造家、呉興(ご・こう)さんがデザインした黄酒のボトル。(紹興=新華社記者/黄筱)