中国は最重要の戦略市場 NGK(蘇州)環保陶瓷・長良直董事長

中国は最重要の戦略市場 NGK(蘇州)環保陶瓷・長良直董事長

新華社 | 2025-06-04 12:59:45

新華社の取材に応じるNGK(蘇州)環保陶瓷の長良直董事長。(5月14日撮影、蘇州=新華社記者/陳聖煒)

 【新華社蘇州6月4日】世界の産業チェーン再編が進む中、日本のセラミックス製造大手、日本ガイシは、持続的な投資と生産拡大の確固たる歩みにより、中国市場で長期的に成長してゆく自信を示している。同社の中国法人の一つ、NGK(蘇州)環保陶瓷(江蘇省蘇州市)の長良直董事長は新華社の取材に対し、世界最大の自動車販売市場である中国は間違いなく最も重要な戦略市場だと述べた。セラミック技術を強みとし、100年以上の歴史を持つ日本の老舗企業は、イノベーションと現地化を両輪として長江デルタの中核で新たな発展の道を切り開いている。

 長良氏によると、日本ガイシの中国進出は、1997年に河北省唐山市で碍子(がいし)生産の合弁工場を設立したのが始まりで、その後、上海に近い立地と長江デルタにおける自動車産業の集積効果を考慮して蘇州を新たな投資先に選定。蘇州工場は現在、同社が世界8カ国に持つ11のハニカム(ハチの巣)構造セラミックス生産拠点の中で最大のコージェライト製ハニカムの生産拠点であり、製品は自動車排ガス浄化に使われ、世界市場において重要な地位を占めている。

NGK(蘇州)環保陶瓷のホールに展示されているディーゼル車用排ガス粒子フィルター。(5月14日撮影、蘇州=新華社記者/陳聖煒)

 長良氏は「われわれのセラミックス製品の9割は中国市場向けで、まさに地産地消を実現している」と紹介。中でも2019年に稼働した第2工場は、中国の自動車排ガス規制基準「国6」に特化したPM2・5微粒子が捕集可能なガソリン車用の新型粒子フィルターを製造しており、そのほとんどを中国国内市場に供給し、同製品の年間売上額は15億元(1元=約20円)に達するという。長良氏は「製品の開発は日本で行ったが、生産技術は中国で開発した。典型的な『日本で開発、中国で量産』のモデルだ」と語った。

 外資系企業に対する優遇政策については、中国政府の「外商投資奨励産業リスト」で同社の製品が奨励類ハイテク製品として設備輸入免税枠を獲得したことから、工場設備の輸入で関税免除の優遇を受けることができたと紹介。第2工場は約30億元の設備投資のうち約10億元分が輸入設備だったが、概算で約6千万元の免税を受けたと説明した。蘇州ハイテク産業開発区からは技術改良に対する特別補助金や旧工場区域の更地化に関する敷地整備補助金などの財政支援のほか、施工許可や環境認可など工場建設時の諸認可の取得でも迅速な行政サービスが受けられたとし、中国の外資政策の変化を肌で感じてきた日本人管理者の一人として、第2工場はこれらの支援策によってプロジェクトが迅速に進んだ具体例だと語った。

新華社の取材に応じるNGK(蘇州)環保陶瓷の長良直董事長。(5月14日撮影、蘇州=新華社記者/陳聖煒)

 中国で電気自動車(EV)などの新エネルギー車が増えていることについては、ガソリン車向け排ガス浄化製品の需要は縮小するものの、排気処理が必要なハイブリッド車も増えていることから「ある程度のバランスは取れる」と指摘。現在は二酸化炭素(CO2)排出量の削減と実質ゼロを目指す中国の「双炭(ダブルカーボン)」目標がもたらす新たな需要に応えるべく、CO2の捕集と貯留が可能な新製品の開発にも着手しているとし、ハニカム構造のセラミック部品を使うことで空気中のCO2を能動的に吸収できると説明した。現在は米国で実証実験を行っており、市場性を検討した上で中国への導入も考えているとし、導入時にはCO2捕集システムの供給体制の構築のため中国企業との協力が必要と述べた。

NGK(蘇州)環保陶瓷の1階展示ホール。(5月14日撮影、蘇州=新華社記者/常博深)

 中国の最大の魅力はマーケットの大きさだとする一方で、競争の激しい中国で勝ち残るのは難しいとも指摘。このような環境で勝ち残ることができれば大きなチャンスになるとし、自社の自動車部品事業については「幸いにも20年間勝ち残ってきた。今後も需要がある限り勝ち残っていきたい」と語った。

 「世界最大の自動車販売市場である中国は、われわれにとって間違いなく最重要の戦略市場だ」。新たな排ガス基準「国7」の実施が間近に迫る中、日本ガイシは次世代排ガス制御装置の開発を進めており、3年以内の実用化を見込む。長良氏は、中日両国の経済・貿易関係がさらに発展し、政治と経済がともに熱気を帯びる「政熱経熱」の新たな局面が一日も早く到来することに期待を寄せた。(記者/方芸暁、常博深、陳聖煒)

NGK(蘇州)環保陶瓷のホールに展示されているガソリン車用排ガス粒子フィルター。(5月14日撮影、蘇州=新華社記者/方芸暁)

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