莫高窟の蔵経洞。(敦煌=新華社配信)
【新華社敦煌6月2日】中国甘粛省敦煌市で5月31日、莫高窟(ばっこうくつ)で125年前に発見された藏経洞から出土した文化財を収録した「デジタル蔵経洞」データベースが公開された。デジタル技術を用いて文献庫の文物を包括的に紹介・解読・共有し、国外に流出した敦煌文化財の情報も含まれる。
1900年に偶然発見された蔵経洞からは7万3千点余りの文化財が出土。うち約4万7千点が国外に流出し、国内に残るのは約2万6千点となる。この100年で世界各地の100近い公的・私的機関に収蔵される敦煌文化財が公開され、敦煌学は国際的な顕学としての地位を確立した。
敦煌研究院はこの数年、蔵経洞の文化財と敦煌石窟の文化財のデジタル化に向け「海外流出敦煌文化財デジタル復元プロジェクト」を積極的に推進。英国図書館が中心となって進める国際敦煌プロジェクト(IDP)を基盤として「デジタル蔵経洞」データベースプラットフォームの構築に取り組んできた。
デジタル蔵経洞には現在、蔵経洞出土文化財の目録7万4651件が登録されている。敦煌経巻9900巻以上、画像6万700枚超が公開され、経文は既に840万字以上を識別している。データベースは、海外に流出した敦煌文化財の目録や貴重な図像のほか、国内外の敦煌学の膨大な研究成果も収録しており、人工知能(AI)技術を活用して経巻の文字を自動認識し、人とAIの協働により識別結果の確認と修正、注釈作業を行っている。
敦煌研究院の蘇伯民(そ・はくみん)院長は「蔵経洞の経文と敦煌学研究の資料を一つにしたリソース管理・共有プラットフォームが形になり、過去と現代をつなぐ敦煌千年のデジタル図書館を社会に提供することができた」と語った。(記者/張玉潔、任延昕)