タイのチャイヤプームで稼働する風力発電機。中国の風力発電機大手、新疆金風科技(ゴールドウインド)が提供した。(資料写真、チャイヤプーム=新華社記者/王騰)
【新華社ジャカルタ5月24日】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の経済貿易担当閣僚はこのほど開いたオンライン特別会合で、双方の自由貿易協定(FTA)へ新たに9分野を加えた「3・0バージョン」への改定交渉が全面的に妥結したと発表した。協定は調印に向けて重要な一歩を踏み出した。
世界経済の回復が弱く、一国主義や保護主義へ逆行する動きがある中、今回の成果は自由貿易と開かれた協力の力強い生命力を示し、地域と世界の貿易に一層の確実性をもたらし、開放と包摂、協力ウィンウィンを堅持する上でけん引的かつ模範的な役割を果たすことになる。
今回の改定は単なる既存の枠組みの拡大ではなく、包摂的、近代的、包括的かつ互恵的な高水準のFTAに向けた大きな一歩となる。3・0バージョンにはデジタル経済、グリーン(環境配慮型)経済、サプライチェーン相互接続など9分野が新たな章として追加され、現在のグローバル産業チェーンの変革や経済の持続可能な発展に関する中心的な議題を網羅している。
中国とASEANは二つの主要な発展途上国・地域として、3・0バージョンのFTAを通じて相互の開放を共同で拡大し、新興分野と「新たな質の生産力」(科学技術イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)における協力を全面的に拡大し、双方の共同の繁栄と発展を促進するための恒久的な推進力を提供する。中国とASEANは長年にわたり互いに最大の貿易相手であり続けてきた。今年第1四半期(1~3月)の貿易額は前年同期比7・1%増の1兆7100億元(1元=約20円)に達し、中国の対外貿易に占める割合は16・6%に上昇した。双方間の高度に補完的で緊密に依存し合う経済・貿易関係は、既に地域協力の中核的な力となっている。
3・0バージョンへの交渉の妥結は、双方の共通の発展に向けた戦略的な選択といえる。これにより、地理的、制度的、文化的な障壁が取り払われ、協力の架け橋が築かれ、地域の平和と安定、長期的な繁栄のための堅固な支えが提供される。世界の経済・貿易が重大な試練に直面する中で交渉が妥結したことは、自由貿易と開かれた協力を守る力強いメッセージとなり、開放と協力、互恵ウィンウィンを堅持してこそ、共通の課題に真に対応し、持続可能な発展を実現できるという確固たるシグナルを世界に向けて送っている。