国境越えた茶文化交流、中国の抹茶が日本の茶室へ

国境越えた茶文化交流、中国の抹茶が日本の茶室へ

新華社 | 2025-05-21 09:06:16

貴茶集団が江口県に設けた生産拠点「貴茶産業パーク」で抹茶ドリンクを見せる従業員。(4月14日撮影、貴陽=新華社記者/欧東衢)

   【新華社貴陽5月21日】中国貴州省銅仁市江口県産の抹茶4トンが今年2月から日本へ輸出されている。中国西南部の梵浄山麓から日本の富士山麓へ、千年の抹茶文化が国際交流の懸け橋となっている。

   雲貴高原に位置する貴州省は、標高が高く低緯度で、雲と霧が多く日照時間が短いという特徴がある。独特の自然条件に育まれた茶葉はアミノ酸と茶ポリフェノールを豊富に含むことから、同省は高品質な抹茶の産地として知られる。2024年時点で、茶樹栽培面積が国内最大の700万ムー(約4670平方キロ)を維持し、抹茶産業の発展を支える基盤となっている。

貴茶集団が江口県に建設した生産拠点「貴茶産業パーク」の抹茶生産ラインで作業する従業員。(4月14日撮影、貴陽=新華社記者/欧東衢)

   江口県の抹茶産業の発展は官民協力を始まりとする。県農業農村局の李小立(り・しょうりつ)高級茶芸師によると、県は07年に資源の優位性を生かして茶産業を主要産業として拡大したが、当時の知名度はいまひとつで、多くの茶生産企業の販売は振るわなかった。茶葉の栽培や生産、販売を手がける貴茶集団は16年、海外顧客から抹茶を大量受注したのをきっかけに、抹茶産業への参入を開始した。

   県は17年、同集団を誘致し専門チームを結成。日本を始めとする国内外の専門家を招き、茶樹の管理から加工まで全工程で技術刷新に取り組んだ。

貴茶集団が江口県に建設した生産拠点「貴茶産業パーク」の抹茶生産ラインで原料を検査する従業員。(4月14日撮影、貴陽=新華社記者/欧東衢)

   技術者や茶農家を選抜して日本に派遣し、現地で技術を習得させた。

   翌18年から抹茶の本格的な生産が始まった。同集団の対外貿易担当の陳小明(ちん・しょうめい)副総経理は「鮮やかな緑色と豊かな香り、厳格な品質管理で国内外から高い評価を得た」と紹介した。19年には輸出を開始し、北米市場へ進出した。

   同集団は現在、抹茶生産ライン4本と抹茶ラテ生産ライン2本を設けた世界最大級の精製工場を有し、生産能力は年間4千トンに上る。24年、同県の抹茶販売量は1200トンを超え、生産高は2億8600万元(1元=約20円)に達した。輸出先は日本や韓国、米国、カナダなど40以上の国と地域へ広がっている。

貴茶集団が江口県に建設した生産拠点「貴茶産業パーク」の抹茶生産ラインで抹茶パウダーを小分け包装する従業員。(4月14日撮影、貴陽=新華社記者/欧東衢)

   銅仁市は「中国抹茶の都」「中国高品質抹茶基地」の誉れがあり、抹茶生産基地は「世界的な抹茶ギガファクトリー」と呼ばれている。

   陳副総経理によると、今年は日本向けにさらに6トンを輸出する計画という。中国産の抹茶が日本の茶道に新風を吹き込み、日中茶文化交流に新たな輝きをもたらしている。(記者/欧東衢、呉思)

貴茶集団が江口県に建設した生産拠点「貴茶産業パーク」で抹茶パウダーを使ってドリンクを作る従業員。(4月14日撮影、貴陽=新華社記者/欧東衢)

貴茶集団が江口県に建設した生産拠点「貴茶産業パーク」の抹茶生産ラインで稼働する抹茶パウダーを加工する機械。(4月14日撮影、貴陽=新華社記者/欧東衢)

貴州省銅仁市江口県の九竜山茶園。(4月16日、ドローンから、貴陽=新華社記者/欧東衢)

貴茶集団が江口県に建設した生産拠点「貴茶産業パーク」で抹茶粉のドリンクを作る従業員。(4月14日撮影、貴陽=新華社記者/欧東衢)

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