中国広西チワン族自治区で絶滅危惧植物の新種「恩城黒面神」発見

中国広西チワン族自治区で絶滅危惧植物の新種「恩城黒面神」発見

新華社 | 2025-05-05 22:46:00

 広西チワン族自治区恩城国家級自然保護区で発見された「恩城黒面神」。(南寧=新華社配信/莫明林)

 【新華社南寧5月5日】中国科学院の広西植物研究所(広西チワン族自治区桂林市)は、恩城国家級自然保護区(同自治区崇左市)での植物資源調査で、同研究所や同保護区管理センターなどからなる技術チームが、コミカンソウ科オオシマコバンノキ属の新種「恩城黒面神」(Breynia enchengensis)を発見したと発表した。研究成果はこのほど、国際植物学誌「ノルディック・ジャーナル・オブ・ボタニー」に掲載された。

 技術チームは2020年4月、保護区内の石灰岩の崖壁で独特な形態を持つコミカンソウ科の植物数株を発見。長期間の形態学比較や解剖観察、国内外の文献・標本との照合を経て、オオシマコバンノキ属の新種と確認し、発見地にちなみ「恩城黒面神」と命名した。

 「恩城黒面神」の解剖学的特徴図。(南寧=新華社配信/常世立)

 恩城黒面神は花序が茎生および腋生で、雄花が葉腋に束生し、雌花は単独または数個の雄花とともに葉腋や古い茎に束生する。主に標高150~300メートルの広葉樹林にある石灰岩の崖壁に生育し、開花期は4~8月、結実期は7~12月となる。

 広西植物研究所の黄兪淞(こう・ゆしょう)研究員によると、恩城黒面神は自治区南西部カルスト地域の特有種で、同保護区の2カ所でのみ分布が確認されている。個体群の成熟した個体の数は100株に満たず、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト基準に基づけば「絶滅危惧種(EN)」に相当する。

 黄氏は今回の発見について、同自治区のカルスト地域における植物多様性を一層豊かにするだけでなく、同属植物の環境適応・進化を研究する重要な実物資料となり、関連分野の研究を大きく前進させるとの認識を示した。(記者/楊馳)

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