中国人天文学者、天の川背後にクエーサー1300個以上発見

中国人天文学者、天の川背後にクエーサー1300個以上発見

新華社 | 2025-05-03 09:17:00

巨大質量ブラックホールを中心としたクエーサーのイメージ図。(北京=新華社配信)

 【新華社北京5月3日】中国科学院国家天文台を中心とする国際研究チームがこのほど、中国の大型天文観測装置「郭守敬望遠鏡(LAMOST)」を用いた観測で、天の川銀河系の円盤方向(銀河面)の背後にあるクエーサー1982個を確認した。うち1338個は新発見となった。国家天文台のほか北京大学、中国科学院大学、北京師範大学、オランダ・ライデン大学などの研究者との共同研究の成果は、米国の天体物理学専門誌「アストロフィジカルジャーナル」に掲載された。

 クエーサーは、地球からはるかに離れた銀河の中心にあり、太陽の数兆倍にも及ぶ光を出す天体で、宇宙の大規模構造や巨大質量ブラックホール、宇宙の再電離過程、銀河の形成と進化などの研究に極めて大きな意義を持つとされる。北京大学物理学院天文学部の呉学兵(ご・がくへい)教授によると、これまで分光観測で100万個近くが確認されているが、多くは「銀河極」の方向に分布している。「クエーサーは銀河面の背後にもあるが、宇宙のちりによる減光と高密度の恒星が原因で、探索の『未踏の地』とされてきた」

 国家天文台の霍志英(かく・しえい)副研究員は「銀河面背後のクエーサーは、その方向にある銀河系の星間物質の化学的、物理的特性を研究するための理想的な探針となる」と発見の意義を説明する。低銀緯のクエーサーの発見は、既知のクエーサーサンプルの銀河面における不足を補い、天体観測の基準座標系の補完と改善にも役立つとした。

 呉学兵氏は今回の発見について、銀河面背後のクエーサーの分光観測による探索に大きな可能性があることを示し、クエーサーの研究と応用のさらなる充実に堅固な基盤を築いたとの見方を示した。(記者/魏夢佳)

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