清華大学で撮影した無線式小型陸空両用ロボット。(1月2日撮影、北京=新華社配信)
【新華社北京4月28日】アクチュエーター(駆動装置)は変形能力を制御可能な装置で、小型ロボットの「心臓部」とされる。中国・清華大学の研究チームが新たに開発した薄膜アクチュエーターは、小型ロボットによる「トランスフォーマー」のような連続的な形状変化を可能にし、特定の動作形態を維持することで、環境適応能力を向上させた。
研究者によると、研究チームは薄膜アクチュエーターとチームが構築した「積み木」式の設計手法を用いて、全長9センチ、重さ25グラムの現時点で世界最小・最軽量の無線式小型陸空両用ロボットを開発。研究成果をこのほど、国際学術誌ネイチャー・マシン・インテリジェンス電子版に発表した。
清華大学で撮影した無線式小型陸空両用ロボット。(1月2日撮影、北京=新華社配信)
ロボットが歩行、走行、跳躍、飛行などの動作をこなすだけでなく、任意の形態を随時維持できるかは、用途拡大に向けた鍵となるが、これまでの5センチ以下の小型アクチュエーターは、連続的な形態変化と維持の両立が難しく、複数の運動モードを備えたロボットの小型化や無線化を大きく制約していた。
清華大学航天航空学院とフレキシブルエレクトロニクス国家級重点実験室の張一慧(ちょう・いつけい)教授の研究グループは、材料と構造を協調設計する手法を革新し、最小で数ミリメートルの小型アクチュエーターを独自に開発。これを変形可能な外骨格としてセンサーやモーターなど各種機能部品を組み込むことで、複雑なロボットシステムの構築を可能にした。
清華大学で撮影した複数のアクチュエーターユニットで構成される「トランスフォーマー」のような小型ロボット。(2023年7月撮影、北京=新華社配信)
張氏によると、新型アクチュエーターは優れた変形能力と形態維持機能を備え、電気制御によって連続的な変形と任意形態の維持を実現できる。従来の小型アクチュエーターでは難しかった特性であり、新型アクチュエーターを搭載した小型陸空両用ロボットは、変形によって地上走行や空中飛行ができ、地上での最高速度は秒速1・6メートルに達した。
研究チームは10個以上のアクチュエーターを組み合わせ、高さ4・5センチ、重さ0・8グラムの「トランスフォーマー」のような小型ロボットも製作した。
張教授は、今回の成果が小型ロボットの研究開発と応用に新たな発想とアプローチを提供したと指摘。将来的には、設備の故障診断やメンテナンス、地質・文化財調査など複雑で危険な環境下での作業を人に代わって行えるようになると語った。(記者/魏夢佳)
清華大学で撮影した地上モードと空中モードで動く無線式小型陸空両用ロボット。(1月2日撮影、北京=新華社配信)
清華大学で撮影した無線式小型陸空両用ロボット。(1月2日撮影、北京=新華社配信)