満潮時に鉄線礁、牛軛礁の海面上に露出した砂州。左上:鉄線礁1号砂州。右上:鉄線礁2号砂州。左下:鉄線礁3号砂州。右下:牛軛礁1号砂州。(組み合わせ写真、北京=新華社配信)
【新華社北京4月26日】中国は25日、南中国海南沙群島の鉄線礁と牛軛礁に関する初の総合的、体系的調査の結果をまとめた「鉄線礁・牛軛礁のサンゴ礁生態系調査報告書」を発表し、両礁の砂州および付近海域で陸上由来の物質は見られず、四つの砂州は全て自然に形成されたもので、満潮時には海面上に露出すると指摘した。
報告書は自然資源部と関係部門、科学技術イノベーションプラットフォームが共同で作成。衛星リモートセンシングと現場調査に基づいて両礁のサンゴ礁生態系の現状を評価し、砂州の発達と形成過程、鉄線礁のサンゴ礁生態系の劣化を引き起こす主要因を科学的かつ正確に分析している。
報告書によると、砂州は鉄線礁の浅瀬に三つ、牛軛礁の浅瀬に一つあり、いずれも自然に形成されたもので、それぞれ平均満潮位より約1・34メートル、1・14メートル、1・10メートル、1・47メートル高く、満潮時には海面上に露出する。中国の2級保護野生動物オオアジサシなど鳥類が群れで活動しているのが見られる。砂州と付近海域の堆積物は同源性が非常に高く、陸上由来の物質は確認されていない。四つの砂州は顕著な自然的特徴を有し、位置や形状が規則的に変化し、十分な物的資源によって発達しており、正常な自然地理現象と認められる。
「鉄線礁・牛軛礁のサンゴ礁生態系調査報告書」に掲載された牛軛礁のサンゴの成長状況を示す写真。(北京=新華社配信)
調査により、フィリピンの「中国が鉄線礁にサンゴの残骸を投棄した」という主張や「砂州は中国の埋め立てによって形成された」とする関係国の発言に科学的、事実的根拠が全くないことが明らかになった。また鉄線礁のサンゴ礁生態系は劣化が深刻で、環礁内の造礁サンゴの被覆面積が減少し続けていることも判明した。牛軛礁のサンゴ礁生態系は概して健全で、造礁サンゴの被覆率が高く、魚類の種類が豊富で、甲殻類、二枚貝、腹足類などの大型底生無脊椎動物が多数生息している。
「鉄線礁・牛軛礁のサンゴ礁生態系調査報告書」に掲載された鉄線礁のサンゴの成長状況を示す写真。(北京=新華社配信)
報告書は鉄線礁のサンゴ礁生態系の深刻な劣化を引き起こした主要因がオニヒトデの大量発生であるとした上で、熱帯低気圧や頻繁な人間の活動、特にフィリピンが中国の中業島で継続している建設工事が鉄線礁のサンゴ礁生態系の健全性に影響を与える重要な要因となっていると指摘した。地球規模の気候変動で海面温度が上昇し続け、南沙群島の島礁は大規模なサンゴ白化の危機に直面している。