山東省浜州市博興県曹王鎮の麦畑で稼働する農業用ドローン。(3月31日撮影、聊城=新華社記者/高天)
【新華社済南4月24日】春の耕作期を迎えた中国各地では、モノのインターネット(IoT)やビッグデータ、AI(人工知能)スマートモデルなどの技術やそれらを活用した設備が盛んに導入されている。農地の状況に応じた可変施肥プランの作成や、データモデルに基づいた作物に必要な水分量のスマート分析など、春の耕作やかんがいに、科学技術が果たす役割は年々高まっており、農業経営者にとって新たな「農具」になっている。
山東省濰坊(いほう)市坊子区に広がる麦畑では、建設機械大手、山東重工集団の傘下で農業機械を手がける濰柴雷沃智恵農業科技の従業員が、ドローンによるリモートセンシングや畑に設置したセンサーから土壌の養分や作物の生育状況などのデータを収集していた。
山東省浜州市博興県曹王鎮の麦畑で苗の状況を確認する農家の人。(3月31日撮影、聊城=新華社記者/高天)
同社の馮凱(ふう・がい)研究開発エンジニアは「収集したデータはスマート農場管理プラットフォームに送信され、AI分析システムで処理された後、個別化された解決策を講じ、農家の農地管理の意思決定を支援する」と説明した。スマート農業管理システムを導入した農地面積は700万ムー(約46・7万ヘクタール)を上回り、3万人近い生産者が恩恵を受けている。
同省済南市章丘区の大規模穀物農家、王兆学(おう・ちょうがく)さんは、8600ムー(約573ヘクタール)に及ぶ麦畑で科学技術の力を目の当たりにした。王さんが昨年、システムから提案された時期に種をまいた麦の苗は、、均等に新芽が株分かれし、生育も旺盛だといい「AI分析システムは『農地の医者』のようなもので、それぞれの苗の生育状況に応じた『処方箋』を出してくれる」と語った。
3日、中国建設機械大手、山東重工集団の傘下で農業機械を手がける濰柴雷沃智恵農業科技でデータを処理する研究開発員。(聊城=新華社記者/高天)
ドローンやビッグデータ、モノのインターネットなどを農業生産に融合することで、農業はより科学的になる。同省浜州市博興県曹王鎮に広がる麦畑では、同じく大規模穀物農家の晋立波(しん・りつは)さんがリモコンを手に画面をタップすると、複数の農業用ドローンが整然と作動し始めた。
麦畑の奥では、スマート気象観測装置がリアルタイムでデータを送信、土壌水分観測装置が作物の根の状態をデジタル信号に変換する。晋さんがスマートフォンの画面をスライドさせると、畑の様子が映し出された。
山東省浜州市博興県曹王鎮の麦畑でスマートフォンの画面に映し出された農業管理プラットフォームを紹介する農家の人。(3月31日撮影、聊城=新華社記者/高天)
春の耕作期に入り、広大な農地はかんがい用の水使用量がピークを迎えている。同省聊城(りょうじょう)市の一部の麦畑では、縦横に交差する水路に黄河の水が勢いよく流れ込んでいた。
黄河で2番目に大きいかんがい区である同市位山かんがい区は今年、2千カ所余りの監視測定所と1100台以上の高精細度ビデオ監視システムを一体化した感知システムにより、水需要予測モデルを設計開発した。同システムは、かんがい区域内の作物に必要な水の量やかんがいに最適な時期、かんがい水量などを分析でき、配水の調整をより正確かつ効率的に行うことが可能だという。
1日、山東省聊城市位山かんがい区管理サービスセンターで、コンピューターを使って区内の農地のかんがい状況を遠隔監視する従業員。(聊城=新華社記者/高天)
同かんがい区管理サービスセンターの楊玉広(よう・ぎょくこう)副主任は、スマート配水と科学的な管理により、かんがい区は1ムー(約667平方メートル)当たり30立方メートル近く節水でき、かんがい面積を10万ムー(約6670ヘクタール)拡大できると説明した。
科学技術は今や農業生産を根本から作り変え、春の耕作とかんがいのスマート化の「加速」を後押しし、中国の農業生産に活力を与え続けている。(記者/高天)