第5回中国国際消費品博覧会低空経済に関する展示エリアの一角。(海口=新華社記者/呉茂輝)
【新華社海口4月21日】中国海南省でこのほど開催された第5回中国国際消費品博覧会では、低空経済(低高度空域を飛ぶ有人・無人航空機を活用した経済活動)に関する展示エリアが初めて設けられ、最新鋭の航空機の披露から使用例の紹介、飛行訓練の実演から立体的交通管制システムの展示まで、低空経済産業チェーンの共同革新の成果が全面的に公開された。
電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカーの広州億航智能技術(イーハン)のブースでは、型式証明と製造証明、耐空証明、運航証明の四つをすべてそろえた自動操縦型有人eVTOL「EH216-S」が注目を集めた。王釗(おう・しょう)最高執行責任者(COO)は「乗客は機内から地上の景色をよく見ることができるが、騒音はほとんど聞こえない」と紹介。同機のコックピットは騒音低減設計を採用しており、乗客は機内でスムーズに会話でき、高度数十メートル飛行時の地上の騒音も極めて小さいとし、「これは本当の意味で都市の低高度空域に溶け込み、『空飛ぶタクシー』になることを意味する」と説明した。
深圳と珠海の間で海上や長江上空での飛行を行う上海峰飛航空科技の電動垂直離着陸機(eVTOL)。(上海=新華社配信)
同業の上海峰飛航空科技(オートフライト)は、今回の博覧会の展示品で最大となる2トン級eVTOLを初めて披露した。同機は純電動型で、最大航続距離は250キロ、巡航速度は時速200キロ。すでに深圳と珠海の間で海上や長江上空での飛行任務を完了し、日本や中東などの国・地域でも試験飛行を行っている。孫銘(そん・めい)上級副総裁は「今年は、貨物輸送や救急・消防などに用いられる無人機の引き渡しを予定している。人員輸送用の無人機は来年耐空証明を取得し、観光や空中交通などの実証運行を行う計画だ」と明かした。
消費品博覧会開催地の海南は、ユニークな自然条件や政策面の優位性、発展上の需要により、低空経済発展の重要な試験区域、モデル区域となっている。今年1月にはeVTOLの省全域での導入に向け、メーカーの広東匯天航空航天科技(小鵬匯天)と共同で「空飛ぶクルマ」実証・応用島事業を立ち上げた。小鵬匯天はすでに海南で「空飛ぶクルマ」の実証実験を展開すると同時に、40数カ所の航空スポーツ場と契約を交わし、島全域に広がる航空スポーツ場の建設に乗り出している。
第5回中国国際消費品博覧会低空経済に関する展示エリアの一角。(海口=新華社記者/呉茂輝)
海南にとどまらず、多くの地方がeVTOLを利用した空中交通を低空経済政策に盛り込み、航路計画を策定している。例えば、北京市は大興国際空港と雄安新区、首都国際空港と天津市、河北省廊坊市などを結ぶeVTOL通勤のための航路の開設方針を打ち出した。内モンゴル自治区などはeVTOL空中交通エリアを設定したほか、広東省は粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア)の主要区域を網羅する低高度空域の空中交通回廊の構築を提起している。
中国(海南)改革発展研究院の匡賢明(きょう・けんめい)副院長によると、中国は低空経済分野において技術の発展でも導入の面でも世界をリードするレベルにある。企業が低空経済分野への投資を強め、地方各地が関連プロジェクトの実施を加速させるにつれ、この分野が急速に発展し、低高度空域のエアモビリティーは現実味を帯びると見込まれる。