青蔵高原出土の彩陶に刻まれた文明交流の証し

青蔵高原出土の彩陶に刻まれた文明交流の証し

新華社 | 2025-04-20 16:56:36

青海省博物館に展示されている彩陶。(2021年11月24日撮影、西寧=新華社記者/白瑪央措)

 【新華社西寧4月20日】5千年以上前、現在の中国青蔵高原で生活していた人々は、粗末な道具で彩陶(彩文土器)芸術の潮流を生み出し、文明の火種を残した。

 青海省海東市楽都区高廟鎮の柳湾遺跡は、全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財)に指定されている。黄河上流の支流、湟水(こうすい)中流域北岸の台地にあり、黄河上流域で発見された遺跡の中で最も規模が大きく、保存状態の良い先史時代の氏族共同墓地群とされる。

青海省博物館に展示されている彩陶。(2021年11月24日撮影、西寧=新華社記者/白瑪央措)

 考古学者らが古墓1730基を発掘し、4万点余りの遺物が出土。うち半数を占めたのが彩陶で、新石器時代後期に栄えた馬家窯文化の半山類型と馬廠類型、斉家文化、辛店文化の四つの時期にまたがり、千年以上使用された。

 馬家窯文化は、主に黄河上流の甘粛省と青海省一帯に分布していた。「河湟谷地」と呼ばれる細長い肥沃な土地には、馬家窯文化をはじめ、斉家文化、青銅時代の卡約文化などの遺跡が点在する。

 青海省博物館館長と青海省文物考古研究院院長を兼務する王進先(おう・しんせん)氏は「青海省では彩色や線刻装飾が施された彩陶が計2017点出土し、うち279点が柳湾遺跡で確認された」と紹介。青海省の彩陶と黄河流域の彩陶は文化的に同系統であり、中華文明の多元一体構造の形成と発展で重要な役割を担ったと述べた。

青海省博物館に展示されている彩陶。(2023年5月18日撮影、西寧=新華社記者/白瑪央措)

 黄河は、青海省海南チベット族自治州同徳県に至ると険しい峡谷を抜けて西に流れを変え、徐々に流れが緩やかになり沖積台地を形成する。この肥沃な土壌はチベット語で「宗日」と呼ばれ、人々が集まる場所を意味する。同地にある新石器時代の宗日遺跡は、2013年に全国重点文物保護単位に指定された。

 柳湾遺跡と異なり、同遺跡では馬家窯文化の彩陶が一定数出土したほか、砂を混ぜて焼いた「夾砂彩陶」も見つかった。乳白色の化粧土の上に赤紫色の模様が施されており、文様は連続する折れ線文や変形鳥文が中心で「宗日式陶器」と名付けられた。

 遺跡を発掘した西北大学文化遺産学院の陳洪海(ちん・こうかい)教授は「農耕を基盤とする馬家窯文化が甘粛・青海地域にどのように広がったかが分かるだけでなく、遺跡のある共和盆地に暮らしていた狩猟・採集民が彩陶文化を受け入れ、独自に変容させていった様子もうかがえる」と説明。青蔵高原における初期の人々の交流と融合のあり方を示す重要な証拠だと語った。(記者/白瑪央措)

青海省博物館に展示されている彩陶。(2021年11月24日撮影、西寧=新華社記者/白瑪央措)

青海省博物館に展示されている彩陶。(2021年11月24日撮影、西寧=新華社記者/白瑪央措)

青海省博物館に展示されている彩陶。(2021年11月24日撮影、西寧=新華社記者/白瑪央措)

青海省博物館に展示されている彩陶。(2019年9月20日撮影、西寧=新華社記者/白瑪央措)

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