竜潭遺跡出土のキナ型技術の石製品。A~D:キナ型剥片石器、E~G:キナ型石核、H~J:再加工された石片、K:再加工された剥片を素材として製作された小型石器。(昆明=新華社配信)
【新華社昆明4月20日】中国雲南省文物考古研究所はこのほど、青蔵高原南東部に位置する同省大理ペー族自治州鶴慶県の竜潭遺跡で実施した複合領域総合研究で、明確な特徴を持つ旧石器時代中期のキナ型技術体系(ムスティエ文化の一形態)を発見したと発表した。東アジア地域で初めての発見で、ネアンデルタール人が中国南西部まで拡散していた可能性を示唆しており、研究成果は国際学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。
キナ型技術は、ユーラシア大陸西部でネアンデルタール人と密接な関係がある。論文の共同筆頭著者・責任著者、中国科学院青蔵高原研究所の李浩(り・こう)研究員によると、キナ型技術は中期旧石器時代の欧州で最も代表的な技術の一つで、約7万~4万年前に集中して出現した。ネアンデルタール人が乾燥かつ寒冷な環境に適応するために用いた特殊な技術的手段とされ、東アジア地域ではこれまで、明確に確認された例はなかった。
竜潭遺跡は2010年に発見された。論文の筆頭著者、同研究所の阮斉軍(げん・せいぐん)副研究館員は、光ルミネッセンス年代測定で確認された遺物包含層の年代は6~5万年前で、石製品群は典型的なキナ型技術の特徴を示していたと説明。遺跡でのキナ型技術の発見は、同技術の時間的、空間的分布の範囲を大きく広げただけでなく、東アジアにおけるネアンデルタール人の出現と潜在的な時間的、空間的分布をさらに理解する上で貴重な資料と手がかりをもたらしたとし、ネアンデルタール人が中国南西部まで移住、拡散していた可能性を示唆していると語った。(記者/厳勇)