堆繡タンカを制作する同仁市年都乎郷年都乎村の村民。(3月13日撮影、西寧=新華社記者/白瑪央措)
【新華社西寧4月15日】中国青海省黄南チベット族自治州同仁市に住むシャワタシさん(38)は20年以上、タンカ(チベット仏教の仏画)制作を学んでいる。中国「タンカ芸術の里」と呼ばれる同市には、シャワタシさんのように民族の特色ある文化事業に携わる人が多い。
2009年、タンカは堆繡(立体的に見える絹の刺しゅうの技法)、泥塑(泥人形)などと共に「レゴン(熱貢)芸術」として国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。地元政府は現在、農村振興創作拠点の設立などにより、無形文化遺産の伝承と発展を促進している。
シャワタシさんは両足が不自由だが、15歳で師匠に弟子入りし、文化企業を設立するまでになった。こうして自らの人生を変えただけでなく、貧困家庭の子や孤児、障害者28人を弟子として受け入れており、「5年間学んだ生徒は毎月補助金を受け取ることができ、生徒たちが作った半製品を師匠が仕上げることで、工芸美術品として国内外で販売される」という。
すぐ近くの年都乎郷年都乎村では、無形文化遺産・堆繡の伝承者、シャワツェテンさんが村民に堆繡制作を指導しており、村民の約70%が伝統手工芸を習得している。
巨大な堆繡タンカを制作する無形文化遺産伝承者のシャワツェテンさん。(2024年8月15日撮影、西寧=新華社配信)
シャワツェテンさんの会社には、常勤従業員が20人余りと契約絵師が500人おり、タンカ、堆繡作品を年間2万点超制作している。シャワツェテンさんは「村民は自宅または工房で刺しゅうを制作でき、日給は200~300元(1元=約20円)で、長期勤務者の月収は少なくとも6千元になる」と説明した。
サンギャ・タンカ画院では、観光客は美しい展示品を鑑賞するだけでなく、絵師の指導でタンカ制作を体験することもできる。同画院のサンギャギャ院長は「特色ある無形文化遺産ルートに沿ってゆっくりと歩けば、無形文化遺産プロジェクトや活動に参加して同文化遺産の技術を学ぶことができるだけでなく、体験型で生活に密着したレジャーを楽しむこともできる」と話した。
同市文化館のツェリンタ館長は「昨年、同市を訪れた観光客は延べ318万人、観光収入は14億6700万元で、それぞれ自治州全体の35%と49%を占めた」と述べ、無形文化遺産の特色ある観光ルートが奥地の芸術を真に開花させたと説明した。(記者/白瑪央措)