中国の科学者、世界唯一の単為生殖ヘビの謎を解明

中国の科学者、世界唯一の単為生殖ヘビの謎を解明

新華社 | 2025-04-10 09:51:04

   【新華社成都4月10日】中国科学院成都生物研究所の李家堂(り・かどう)研究員による研究チームが、世界で唯一の偏性単為生殖のヘビとして知られるブラーミニメクラヘビのゲノムを初めて解明し、研究成果をこのほど、科学誌サイエンス・アドバンシズに発表した。

   世界最小級のヘビとしても知られるブラーミニメクラヘビは、全ての個体が雌で、交配なしに自己繁殖するという特異な生態をもつ。科学者らは長年にわたり、三倍体のゲノム構成の起源や複数のサブゲノム間の適合性、単為生殖が進化の袋小路につながる可能性などに注目してきた。

   研究チームは、同ヘビの染色体レベルでの高精度なゲノム解読と三つのサブゲノムの分離に成功。祖先のゲノムが約4100万年前に急速な種分化を経験し、染色体の融合が起きたと突き止めた。

   これらの「シングルマザー」が、単為生殖で種の存続を図るために繁殖の過程で一部の遺伝子機能を自ら停止していたことも分かった。解析結果によって免疫や精子形成に関わる多くの遺伝子が偽遺伝子(機能を失った遺伝子)になっていたことも発見。偽遺伝子化は、異なるサブゲノム間の不整合の軽減、ヘテロ接合型ゲノムの形成促進、単為生殖の円滑性の確保に寄与していると考えられる。

   卵巣などの器官における転写やエピゲノムの分析では、DNA修復に関与する遺伝子が卵巣で特異的に高発現しており、減数分裂の過程で「遺伝子の校正装置」として機能していたとみられる。

   集団ゲノム解析では、地理的に異なる個体群間でサブゲノムのコピー数に顕著な差があることも判明。単為生殖は「減数分裂前のDNA複製」に依拠した仕組みである可能性が高いと研究チームはみている。

   李氏は今回の研究成果について「単為生殖の動物が進化の袋小路にあるという従来の認識を覆すものだ」と説明。動物の単為生殖や倍数体形成の理解に新たな視点をもたらすほか、多様な生殖様式の起源解明に向けた手がかりにもなるとし、他の分類群における染色体進化や種の多様性保全を探求する上での新たな考え方を提起したとの認識を示した。

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