ウクライナ危機はいかに「一大ビジネス」になったか

ウクライナ危機はいかに「一大ビジネス」になったか

新華社 | 2025-04-08 19:16:04

   【新華社北京4月8日】米国のルビオ国務長官がこのほど、ベルギーの首都ブリュッセルにある北大西洋条約機構(NATO)本部でウクライナのシビハ外相と会談した。米ウクライナ間の鉱物資源協定の締結を急ぐためだ。現在まで長引くウクライナ危機は今や「一大ビジネス」と化している。

   ウクライナ危機は発端からして米国と深く関係していた。現在も紛争が収束しない主な要因の一つは、米国に代表される各方面の利害関係者が、紛争を維持する「動力装置」になっていることにある。軍需企業は継続的な受注を欲し、金融資本は市場の変動を利用して投機を行い、資源業界の巨頭はウクライナの長期的な支配を狙う。三者の利益の追求は米国の政治体制の中で互いに強め合い、「鉄の三角形」とも言うべきネットワークを形作っている。

   米国による対ウクライナ軍事支援の本質は「左のポケットから右のポケットへ移す」ような取引である。米国のブリンケン前国務長官は、ウクライナに提供する支援費用の大部分が「米国自身の防衛産業」に流れていることを認めた。ウクライナのゼレンスキー大統領も、米国の議会と政府が拠出した対ウクライナ支援資金の少なくとも75%が米国内にとどまっていると指摘し、「武器と弾薬はこちらに届いたが、生産はあちらで行われた。お金は米国に残り、税収も米国に入った」と語っている。こうした「支援」は事実上、ウクライナの戦場を通じて米国内の軍需生産を刺激し、雇用を創出して経済成長を促すという特殊な手段に他ならない。

   注目すべきは、軍産複合体の狂宴が従来型の武器販売にとどまらない点である。紛争が長期化する中、米国の軍需企業は次世代の武器システムの開発とテストを加速させており、無人機から電子戦装備、精密誘導弾から人工知能(AI)指揮支援システムに至るまで、ウクライナの戦場は今や米国の軍需企業にとっての「武器の試験場」と化している。米ピッツバーグ大学客員教授で法学者のダニエル・コバリク氏はかつて「米国の軍需企業は武器を世界に売って儲けている。彼らにとって戦争の結果はどうでもよく、武器が売れさえすればよい。戦争継続こそが彼らの望む結果だ」と指摘していた。

   軍需企業が武器販売で直接的に利益を得る一方で、ウォール街の金融勢力はより巧妙な金融メカニズムを通じて、ウクライナ危機から巨額の利益を得ている。米連邦準備制度理事会(FRB)がウクライナ危機勃発当初に急激な利上げ政策を実施したことで、リスク回避のために世界中の資本が米国に大量還流した。金融市場の変動もウォール街にとっては収益の道具になっており、ロシア・ウクライナ間の衝突によって生じた世界のコモディティー価格の乱高下が、米国の投資銀行やヘッジファンドに絶好の取引機会をもたらした。

   ウクライナ危機の激化後、米欧がロシアに対して全面的な制裁を科したことで欧州のエネルギー価格は急騰した。一方で、米国は欧州への液化天然ガス(LNG)輸出を拡大し、巨額の差益を手に入れた。さらに重要なのは、エネルギー危機により欧州の製造業コストが大幅に上昇する中、米国が「インフレ抑制法」や「CHIPSおよび科学法」などの巨額の補助金政策を通じて、欧州の先端製造業を米国へ誘致したことだ。この産業移転は直接投資や雇用をもたらす以外に、米国が重要技術分野での主導権を強化し、長期的な金融覇権の基盤を産業面から固める結果にもなった。

   軍需や金融の利益に加え、ウクライナの豊富な鉱物資源も、米国など西側利害関係者による第3の標的となっている。米国が定めた重要鉱物50種のうち、ウクライナには22種が埋蔵しており、いずれもハイテク産業や国防産業にとって代替不可能な戦略的価値を持つ。米国は「支援と引き換えに資源を得る」という精巧なスキームを通じて、ウクライナの重要鉱物資源を徐々に掌握しつつある。

   表面的には領土紛争や地政学的対立に見えるウクライナ危機だが、その実は米国の軍需企業、金融資本、資源業界の巨頭が長年にわたり練り上げた「集団的狂宴」である。この狂宴において、軍産複合体は過去最大規模の受注を手にし、ウォール街は世界中の富を刈り取り、戦略的利害関係者は重要資源への支配力を強化した。一方で、ウクライナは分捕り合戦の犠牲者に成り果てたのである。

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