【新華社ウルムチ3月30日】中国新疆ウイグル自治区北部は24日から25日にかけて寒波に見舞われ、最深積雪が45ミリに達した。送電大手、国家電網傘下の国網新疆電力が運営する防災・減災センターでは、極軌道衛星の追跡やスーパーコンピューターなどを駆使し、自治区全域の送電線2千本超に対するリスク予測を3時間以内に完了。76本が寒波の影響を受けることが判明し、作業員は早期警戒情報に基づく防災活動が可能になった。
同センターの責任者を務める楊洋(よう・よう)さんによると、センターが設立した極軌道気象衛星データ受信ステーションは、国内外の衛星13機からの気象データをリアルタイムに受信することで、雲の分布や降水強度、風速、風向きなどの重要な情報を10分ごとに更新でき、高精度な「天の眼」となっている。
同センターは、自治区の気象部門が設置した自動気象観測ポイント2165カ所の観測データとも連携、自治区全域の送電線に微気象観測装置509台と着氷観測装置494台を配備している。こうした装置は衛星測位システム「北斗」の通信技術を通じて、配備エリアの風速、温度、湿度、着氷強度のデータを20分ごとに送信し、自治区全域の送電線の状況を示す「地上ネットワーク」を形成している。
「天の眼」と「地上ネットワーク」が受信したデータは、「超脳」と呼ばれるスーパーコンピューティングプラットフォームに送られる。プラットフォームは毎秒60兆回の計算を行い、今後の気象と影響を受ける送電線の状況を予測。異常気象が発生した場合、半径3キロ以内で影響を受ける送電線や送電塔の位置を正確に特定できる。
国家電網傘下の国網伊犁伊河供電でメンテナンスを担当する徐浩東(じょ・こうとう)さんは、センターからの情報に基づき早期警戒エリアの送電線を重点的に巡回することで、従来行っていた全エリアの巡回より作業時間を6時間短縮できると語った。(記者/杜剛)