子どもたちの成長を促す美的教育　中国湖南省

湖南省衡陽市にある梓木小学校で、美術の授業を受ける児童。（２０２２年９月撮影、長沙＝新華社配信）

　【新華社長沙３月１３日】中国湖南省長沙市天心区にある仰天湖実験学校では、デジタル技術を取り入れた美的教育「智慧美育（スマート美育）」の実践を深く追求している。

仰天湖実験学校で、ＡＩロボットの授業に参加する児童。（２０２２年５月撮影、長沙＝新華社配信）

　校内では、子どもたちが人工知能（ＡＩ）ロボットや仮想現実（ＶＲ）ゴーグルを使っていつでも世界各地を「訪問」できるようになっている。唐玲娟（とう・れいけん）校長によると、同校はデジタル技術を通じて、子どもたちが美の発見や鑑賞、表現、創造に関する能力を絶えず高めることを目指している。

湖南省衡陽市にある梓木小学校で、ダンスの授業を受けるダンスチームの子どもたち。（２０２４年６月撮影、長沙＝新華社配信）

　学校の敷地内にある植物園では、子どもたちが文学や絵画、書道、撮影、手工芸、科学技術を融合させて、二十四節気に関連するさまざまな形式の作品が創作できる。校内には４００メートルにわたる「未来の美学」をテーマにした壁画もあり、全校児童１５１６人と教師９３人が「手形壁アート」を描いている。芸術をテーマとした長廊下には、天井から複数の指向性スピーカーがつるされており、子どもたちはスピーカーの下の床に貼られた指示に従って好みの芸術作品を選び、音声を聞きながら作品について学ぶことができる。

仰天湖実験学校のスマート運動共有ハウスで放課後の運動を行い、リアルタイムで運動データを受信する児童。（２０２３年６月撮影、長沙＝新華社配信）

　同校ではほかにも、クラス単位で土地を割り当て、児童らが自分たちで育てたい品種を選んで栽培することで、土いじりの楽しさを味わう取り組みや、中医薬材料の研究や花の香りを体験するカリキュラムも開設されている。伝統的な技術と現代的な技術を融合させることで、子どもたちがその中に含まれる歴史や文学、医学、美学などを体得できるようにしている。唐校長は「これらは全て、自然の美学を学ぶカリキュラムの一環」と紹介した。

仰天湖実験学校でニンテンドースイッチを使ってダンスを踊る児童。（２０２３年６月撮影、長沙＝新華社配信）

　美的教育は郷村にある小学校にまで広がっている。衡陽市蒸湘区雨母山鎮にある梓木小学校で５日に行われた美術の授業では、教師の曽楚雪（そう・そせつ）さんがさまざまな道具や材料を使って児童に創作をさせていた。子どもたちは絵筆や小枝などで思い思いに動物の世界を描いた。

仰天湖実験学校で人気のストップモーション・アニメーションの授業を受ける児童ら。（２０２４年４月撮影、長沙＝新華社配信）

　李宛容（り・えんよう）校長によると、同校ではダンスや切り絵、鍵盤ハーモニカなどの特色ある趣味講座を開講し、子どもたちが年齢や興味に応じて選択できる。美的教育の授業は、地域の環境も考慮されており、菜の花が咲く時期には美術教師が児童を連れて野外で絵を描き、ダンスの授業では地元の郷村生活に見られる動きが取り入れられている。

仰天湖実験学校で放課後に行われるスマート縄跳び運動に参加する児童。クラウドプラットフォームにより、リアルタイムで成績が表示される。（２０２２年１０月撮影、長沙＝新華社配信）

　同省はここ数年、新しい時代における学校美的教育事業の全面的な強化と改善に取り組んでいる。美的教育に省内の豊かな文化資源を活用し、学校に対してはカリキュラムの完備や十分かつ質の高い実施、教材作りの強化、小中高生全員を対象とした文化スポーツ活動の着実な実施を求めている。（記者／張玉潔）

　湖南省衡陽市蒸湘区雨母山鎮にある梓木小学校で、世界本の日（世界図書・著作権デー）に屋外での読書と詩の創作活動に参加する児童ら。（２０２４年４月２３日撮影、長沙＝新華社配信）