中国、「人工太陽」コアシステム開発に成功 世界先進水準に

中国、「人工太陽」コアシステム開発に成功 世界先進水準に

新華社 | 2025-03-12 15:09:39

   【新華社合肥3月12日】中国が「人工太陽」で再び次世代コアシステムを完成させた。中国科学院合肥物質科学研究院は9日、同研究院が建造中の核融合技術の総合研究施設「夸父(CRAFT)」の8セクターからなる真空容器のうちの一つと組み立てシステムが専門家チームのテストと検収に合格したと明らかにした。同システムの開発レベルと運用能力は国際先進レベルに達している。

   9日、「夸父(CRAFT)」の8セクターからなる真空容器のうちの一つと組み立てシステムを検収する専門家チーム。(合肥=新華社記者/周牧)

   太陽は核融合反応によって熱と光を放出している。「人工太陽」とは太陽の内部で起こっている核融合を人工的につくり出すことを意味する。核融合エネルギーによる発電が実現すれば、核融合の材料は地球上に豊富に存在し、汚染物質を排出することもないことから、枯渇の心配がなくクリーンなエネルギーを得ることができるとして期待が高まっている。

   9日、「夸父(CRAFT)」の8セクターからなる真空容器のうちの一つと組み立てシステムを検収する専門家チーム。(合肥=新華社記者/周牧)

   安徽省合肥市北西部にある「夸父」の試験棟には、検証を終えたばかりの真空容器の8分の1セクターと組み立てシステムのメインプラットフォームがそびえている。D字型断面の二重構造をした8分の1セクターを「ミカンの房」のように八つ合わせてドーナツ型の真空容器をつくり、その中で「人工太陽」を「燃焼」させる。8分の1セクターは厚さ50ミリの超低炭素ステンレス鋼製で、高さは20メートル、重さは295トンある。

   中国科学院合肥物質科学研究院プラズマ研究所の研究者で、今回検収を完了したシステムの責任者である劉志宏(りゅう・しこう)氏は「核融合炉の中で真空容器は炉心に最も近く、放射性物質の安全障壁になる」と指摘する。1億度以上となるプラズマの装置内での安定を確保するだけでなく、超伝導電磁石の安全バリアーとしての役目も果たすため、精度、溶接、透磁率などに対し極めて高い基準が求められる。同システムは「夸父」の19あるサブシステムの一つで、真空容器の8分の1セクターの開発を終えたことで、研究チームは核融合炉の環状真空容器のコア技術を完全にクリアしたと言えるという。

   9日、「夸父(CRAFT)」の8セクターからなる真空容器のうちの一つと組み立てシステムを検収する専門家チーム。(合肥=新華社記者/周牧)

   事前調査から開発、試運転、正式な完成と検収合格まで、研究チームは10年の歳月をかけて難関に取り組み、40以上の発明特許を取得した。同システムは、核融合炉の主要機器となる真空容器内部のパーツの設置、試験、試運転、遠隔操作に関する今後の研究に実物大の総合的実験プラットフォームを提供するだけでなく、関連技術は粒子加速器や精密機械、電子科学技術、半導体などの分野にも幅広く応用されることになる。

   「夸父」の各サブシステムの開発と運用の相次ぐ成功は、基礎研究から技術検証、工学応用に至る一連のプロセスを形成し、核融合炉の設計、建設、運用に向けた科学技術の強固な基盤を築いている。

   9日、「夸父(CRAFT)」の8セクターからなる真空容器のうちの一つと組み立てシステムを検収する専門家チーム。(合肥=新華社記者/張端)

   9日、「夸父(CRAFT)」の8セクターからなる真空容器のうちの一つと組み立てシステムのプラットフォームを背景に記念撮影する研究者と専門家。(合肥=新華社記者/張端)

   9日、「夸父(CRAFT)」の8セクターからなる真空容器のうちの一つと組み立てシステムのプラットフォーム。(合肥=新華社記者/周牧)

   9日、「夸父(CRAFT)」の8セクターからなる真空容器のうちの一つと組み立てシステムのプラットフォーム。(合肥=新華社記者/周牧)

   9日、「夸父(CRAFT)」の8セクターからなる真空容器のうちの一つと組み立てシステムのプラットフォーム。(ドローンから、合肥=新華社記者/張端)

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