中国のシニア世代にクルーズトレインが人気 観光地を便利に周遊

中国のシニア世代にクルーズトレインが人気 観光地を便利に周遊

新華社 | 2025-03-07 10:33:08

上海南駅から観光列車に乗り込む年配の旅行客。(2024年4月20日撮影、上海=新華社配信)

 【新華社北京3月7日】中国ではここ数年、列車で観光地を周遊するクルーズトレインが大きく発展し、サービスもますます向上、シニア層を中心に人気を集めている。国有鉄道会社の中国国家鉄路集団によると、昨年は1860本が運行され、延べ100万人以上が利用した。このうち高齢者は8割近くを占め、シニア層に特化した「シルバー観光列車」の運行も始まっている。

 今年初めには商務部や文化・観光部など9部門がシルバー観光列車の増発やサービス向上に関する行動計画を発表した。シルバー観光列車は高齢者のニーズを満たすために特別に開発された観光列車で、旅行団体の行程に応じて柔軟に運行計画を立てられる。車内に医療・介護エリアを設置するなど設備や使い勝手の面で工夫がなされており、高齢者の家族も一緒に利用できる。

観光列車「パンダ特別列車・成都号」の個室車両。(資料写真、成都=新華社記者/劉坤)

 張慧娟(ちょう・けいけん)さん(59)は夫と共に観光列車をたびたび利用している。「ゆったりとした旅行スタイルが私たちにとても合っている。複数の観光地を一度に巡ることができるし、毎日十分な休息時間が確保されていて、停留駅から観光地への移動もスムーズだ。全体として快適で安全なので、とても安心できる」と語る。

 上海に住むシニア世代の鄭(てい)さんは、シルバー観光列車の社交的、文化的な側面に魅力を感じている。「乗客は同年代が多いのですぐに打ち解けられるし、共通の話題も見つけやすい。移動中も飽きない工夫がされており、例えば四川省の『パンダ特別列車』では、地元の伝統演劇である川劇の変臉(へんれん=仮面の早変わり)のパフォーマンスや民族の歌と踊りが披露され、まるで移動する文化芸能のステージのようになっている」

長江デルタを周遊する観光列車(G7503次)で笑顔を見せる乗客。(2024年5月17日撮影、上海=新華社配信)

 高まり続ける需要に対応するため、鉄道部門もシルバー観光列車の供給拡大を進めている。中国国家鉄路集団の朱文忠(しゅ・ぶんちゅう)客運部副主任によると、同集団は2027年までにシルバー観光鉄道の路線を100本以上設計し、シニア層の利用に適したシルバー観光列車を160編成導入、年間運行本数を2500本以上に増やす計画だという。

 北京第二外国語学院中国文化・観光産業研究院の呉麗雲(ご・れいうん)教授はシルバー観光列車の人気について、時間的に余裕のあるシルバー層が混雑しないオフシーズンにコストパフォーマンスの高い旅行を望むことが関係していると分析。シルバー観光列車は従来の市場の閑散期を埋める重要な商品であり、鉄道資源利用のバランスを取るための重要な手段になっているとの認識を示した。

 別の専門家は、シルバー観光列車は沿線地域の飲食、宿泊、移動、観光、ショッピング、娯楽の観光資源を統合し、観光サービスの充実や沿線の消費拡大につながると指摘。各地方がそれぞれの特性に合った質の高いシルバー観光路線を継続的に開発することで、シルバー観光列車の魅力をさらに高めることができると提案している。(記者/沈氷潔)

上海市を出発する長江デルタ周遊のシルバー観光列車。(2月14日撮影、上海=新華社配信)

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