中国語版の「さよならジュピター」。 (北京=新華社配信)
【新華社北京3月4日】日本SF界の巨匠・小松左京氏(1931~2011)の代表作「さよならジュピター」の中国語版が1日、訳林出版社から刊行され、星々を巡る壮大な物語が中国の読者に届けられた。
同作品は中国のSF作家、劉慈欣(りゅう・じきん)氏の小説「三体」の着想源とされ、映画「2001年宇宙の旅」に比肩する大作として名高い。日本では優れたSF作品に贈られる第14回星雲賞を受賞し、同名映画はアジアにおけるSF映像化の先駆けとなった。中国語版はベテラン翻訳家の馬彦栄(ば・げんえい)、徐莎莎(じょ・ささ)両氏による共訳で、原作の風格を忠実に伝えている。
「さよならジュピター」はスケールの大きい災害描写と人間に対する深い思索が融合した「日本沈没」に続く傑作で、「木星太陽化計画」を軸に、太陽系がブラックホールに飲み込まれる未曽有の危機を描く。22世紀の太陽系宇宙空間に移住した人類は、火星の氷床の下から10万年前の異星人文明が残した地上絵を発見。同じ頃、彗星の異常な減少も観測された。中型ブラックホールが太陽系に接近しつつあるという恐ろしい事実が判明し、科学者たちは木星を爆発させてブラックホールの軌道を変えるという計画を立案する。50億年の文明の存続を賭け、人類の英知と宇宙の未知との究極の対決が繰り広げられる。(記者/藍建中)