蘇峪口磁窯跡出土の花口碗。(銀川=新華社配信)
【新華社銀川2月27日】中国寧夏回族自治区銀川市の賀蘭山で見つかった西夏王朝時代(11~13世紀)の蘇峪口(そよくこう)磁窯跡の磁器が、石英含有量と硬度や透光率などの性能において現代の石英含有量の高い磁器に近いか同等であることが最新の研究で分かった。
窯跡は2017年の考古学調査で発見され、面積約4万平方メートルと確認された。寧夏文物考古研究所と復旦大学(上海市)が21年から24年にかけて2400平方メートルを発掘。窯炉6基を含む工房遺構が出土した。
専門家は、「官」字款の匣鉢(こうばち)や生産モデルから蘇峪口磁窯跡を西夏の官窯と判断。生産された杯や碗、皿などの日用食器類は主に西夏の王室に供給されたと思われる。
蘇峪口磁窯跡で生産された磁器は、薄胎のきめ細かな白磁で硬度が高く、景徳鎮湖田窯で当時生産されていた白磁と非常に似ている。寧夏文物考古研究所の柴平平(さい・へいへい)副研究館員によると、蘇峪口の磁土は酸化アルミニウムの含有量が高く、透明感のある滑らかな白磁を焼成することができないため、当時の職人は磁土に石英を加えることで二酸化ケイ素の割合を高めるとともに酸化アルミニウムの割合を減らし、湖田窯に極めて近い製品を焼いていた。
賀蘭山の蘇峪口磁窯跡を発掘する考古学関係者。(2024年10月24日、ドローンから、銀川=新華社記者/馮開華)
柴氏は「今回の発見で中国の磁胎の『二元配合』技術は元代から西夏時代までさかのぼった。宋代(西夏は宋と同時代の地方政権)の全国の窯場で初めての発見であり、蘇峪口磁窯は中国の窯業技術で独自の地位を得た」と語った。
北京大学考古文博学院の秦大樹(しん・たいじゅ)教授は、北宋の宮廷や文人・士大夫階級は「極限の簡素化」を好み、無地の薄手の白磁が当時の流行だったと説明。宋の美的感覚が西夏の王室に影響を与えたとし「宋と西夏には蜜月期があり、技術的、文化的に密接な交流があった。北宋の朝廷が南方や北方から優れた職人を西夏に派遣し、白磁の製造を手助けした可能性が高い」との見方を示した。
蘇峪口磁窯跡はこれまでに発見された最古の西夏磁窯跡であり、「中国社会科学院考古学フォーラム・2022年中国考古新発見」に選ばれている。(記者/馬思嘉、馮開華)
蘇峪口磁窯跡出土の磁器。薄胎のきめ細やかな白磁で潤いと透明感があり、透光性が極めて高い。(組み合わせ写真、銀川=新華社配信)
22日、賀蘭山の蘇峪口磁窯跡。(ドローンから、銀川=新華社記者/馮開華)