【新華社深圳2月21日】中国で先ごろ発表された「2025年中国ペット業界白書(消費報告)」によると、2024年は都市部のペット飼育数が1億2千万匹に上り、ペット飼育の精密化がトレンドになりつつあることが明らかになった。
中国では今、ペットの衣食住や外出、美容、訓練、教育、フィットネス、医療など細分化された人間同様の消費分野が急速な発展期を迎えている。ペット企業は続々と革新的な試みに乗り出し、精神的な満足感、社交ニーズなどの面で消費シーンと消費ニーズの細分化を図り、ペット経済の産業チェーンの充実度と成熟度の向上を推進している。
天津市にある動物病院でペットの美容を行うスタッフ。(資料写真、天津=新華社配信)
現在のペット産業チェーンは川上・川中・川下の三つの部分に分けられ、川上は主に繁殖と取引、川中はペットフード、ペット用品、ペット用玩具・アパレルなど、川下はペットの美容や預かり、写真、医療、保険などのサービスを中心とする。
川上と川中に比べ、川下のサービスは精神的なニーズへの関わりが大きく、一連の「擬人化」したサービスが生まれ、伸びが目立ちつつある。
広東省の深圳宝安国際空港では24年5月、中国初のペット専用待合室の運用が始まった。ペットの移動のためのワンストップサービスも打ち出し、ペットごとに独立した待機スペースがあるほか、ペット用の娯楽スペースも設置された。同空港の担当者は「これは掘り起こしがいのある市場だ」と説明した。
上海市で行われた第3回上海ペットファッションウイーク「MMCHOKK」の開幕式。(2024年10月25日撮影、上海=新華社記者/方喆)
「2023~24年中国ペット業界白書(消費報告)」によると、都市部の23年のペット消費市場規模は2793億元(1元=約21円)で、26年は3613億元になる見通し。中国の企業情報サイト「企査査」のデータでは、直近10年で中国のペット経済関連企業数は着実に増加し、25年1月22日時点で424万6千社となった。うち設立から3年以内の企業が全体の8割近くを占める。
ペット経済の市場拡大余地の大きさを前に、多くの地方も支援を強め、地域産業の育成に力を入れ、ペット業界の急速な発展を促している。
深圳市羅湖区は24年末、敷地面積が約7万5千平方メートルに及ぶ同市初のペット経済産業パークを建設し、ペットフード・用品の研究開発とデザイン、スマート製造、越境電子商取引(EC)などの分野への布石を打つ計画を発表した。上海市奉賢区は「ペット愛護経済」に関する発展計画を制定したほか、江西省贛州(かんしゅう)市はペット健康産業を市の重点産業チェーンに組み入れた。
深圳市ペット協会の宋偉強(そう・いきょう)秘書長は「中国のペット消費市場規模は約3千億元に上り、将来的に1兆元規模の市場になることは間違いない」との見方を示している。(記者/王豊)