【新華社北京2月18日】中国広東省四会市太平崗地区で出土した恐竜化石が、国際研究チームの調査で約7千万年前の大型鳥脚類恐竜ランベオサウルスだと判明した。中国華南地区では初めての発見で、東アジアで最南端の記録になるという。研究成果はこのほど、古生物学の国際学術誌「ヒストリカルバイオロジー」に掲載された。
広東省四会市で発見されたランベオサウルス類恐竜の復元図。(北京=新華社配信)
中国地質大学(北京市)、カナダ自然博物館、四会市博物館などの専門家からなる研究チームが同化石を調査し、ランベオサウルスが属すハドロサウルス類の典型的な特徴を発見した。
ハドロサウルスは、アヒルのような平らなくちばしを持つことからカモノハシ竜とも呼ばれる。白亜紀の草食恐竜で、かむ力が強い。ランベオサウルスは、細長く中が空洞の鼻骨でできた奇妙な「とさか」を持ち、科学者は、この「とさか」からトランペットなどに似た音を出し、仲間同士とコミュニケーションを取っていたのではないかと推測する。
論文の筆頭著者、中国地質大学(北京)博士課程の王董浩(おう・とうこう)さんによると、標本の椎体(ついたい=背骨の一部)は完全に癒合していないことから亜成体と見られ、全長は約8メートルと推測される。成体になれば10メートルを超えていた可能性がある。
研究チームの専門家、中国地質大学(北京)の邢立達(けい・りったつ)副教授は、今回見つかった化石は北米で見つかったランベオサウルスと近縁関係にあることから、白亜紀後期にベーリング海峡を経由して北米からアジアに渡った可能性があるとし「ランベオサウルス類の恐竜が華南地区で発見された最初の事例で、白亜紀後期に北米の恐竜が中国南部に広がったことを示す重要な証拠でもある」と説明。生物古地理学を研究する上で重要な意義を持ち、白亜紀末の生物大量絶滅以前の各地域の生態系を知るための貴重な資料になると語った。(記者/魏夢佳)
広東省四会市で発見されたランベオサウルス類恐竜の化石標本(背椎と尾椎)。(北京=新華社配信)
広東省四会市で発見されたランベオサウルス類恐竜の化石標本。(北京=新華社配信)