新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州アルタイ地区の喀納斯(カナス)風景区で記念写真を撮る観光客。(7月22日撮影、ウルムチ=新華社記者/丁磊)
【新華社北京12月19日】中国の交流サイト(SNS)では最近、「平替(ピンティー)旅行」(そっくり観光地への旅行)が話題となっている。多くのネットユーザーが自ら訪れた国内外の人気観光地にそっくりな場所をシェアし、「本場に行けないわけではなく、『そっくり観光地』の方がコストパフォーマンス(コスパ)が良い」と話す。
「平替」とは、大手ブランドの商品と似た機能を持ちながらコスパの良い代替品という意味で、そこから派生した「平替旅遊(観光)地」は、訪問客が比較的少なく、旅費が手頃で、独特の体験が味わえる観光地のことを指す。外国の有名観光地やネットで話題の観光地と似た場所を目的地とする「平替旅行」は、若い世代に急速に広まっている。
東台吉乃爾湖の夏景色。(資料写真、ドローンから、西寧=新華社配信)
青海省の東台吉乃爾湖はインド洋の島国モルディブを思わせ、陝西省延安市甘泉県の雨岔大峡谷は米国のアンテロープキャニオンと瓜二つ、若い世代に人気の穴場スポット、新疆ウイグル自治区北部の喀納斯(カナス)風景区は、スイスにそっくりな観光地として知られている。このほか、若者は崇左(広西チワン族自治区)の山水画のような風景が桂林(広西チワン族自治区)に引けを取らず、甘南(甘粛省)では高山病の心配なくチベット文化と美しい景色を体験できることを、身をもって発見した。何の変哲もない小さな町が「平替」効果で注目を集め、独特の美食、景観、楽しい体験、非常に高いコスパによって、ますます多くの若者に選ばれる目的地となっている。
某大手旅行サイトが発表した「若者の平替旅行レポート」によると、1~10月、同社サイトにおける「平替旅行」関連の検索・閲覧数は前年同期比33・7%増、コンテンツ量は約2・3倍となり、200万人を超えるユーザーが自らの「平替旅行」体験を共有した。年齢層は「平替旅行」に熱心な「90後」(1990年代生まれ)と「00後(2000年以降生まれ)」が全体の6割近くを占めた。若者にとって「平替目的地」を選ぶことは、より経済的であるだけでなく、未知の世界を探索し、個性的な旅行を追求することでもある。
広西チワン族自治区崇左市大新県の徳天瀑布風景区。(7月4日撮影、崇左=新華社配信)
「北京郊外の小スイス」と呼ばれる観光地で、友人と週末を過ごしたことがあるという「00後」の大学生、程穎佳(てい・えいか)さんは「有名でない『平替目的地』はとても新鮮に感じる。あまり遠くない場所なら移動で疲れることもないし、細かく計画を立てる手間も省ける」と語り、「スイスに似ているかどうかは実はそれほど重要でなく、行きたいと思った時にすぐ行けるかどうかが大切」と強調した。
中国社会科学院ニューメディア研究センターの黄楚新(こう・そしん)副主任は、若者の間に広がりつつある「平替旅行」や「反向遊」(逆張り旅行)などは、若者の旅行に対する新たなニーズを反映していると指摘。観光消費は単なる買い物行為ではなく、自己表現や感情の伝達手段であり、旅行中に他者との交流や共感がより重視されているとの見方を示した。
「北京郊外の小スイス」と呼ばれる北京市延慶区と河北省張家口市赤城県の境にある海陀渓谷。(7月7日撮影、北京=新華社記者/彭純)
中国のSNSアプリ「小紅書(RED)」に投稿された「平替旅行」攻略法。(資料写真、北京=新華社配信)