中国各地で先進コミュニティー「完整社区」の整備進む

中国各地で先進コミュニティー「完整社区」の整備進む

新華社 | 2024-12-15 08:06:00

河北省唐山市にある団結里社区の食堂で料理を選ぶ住民。(11月7日撮影唐山=新華社配信)

  【新華社北京12月15日】中国の各地で現在、さまざまな生活サービスがそろった先進的なコミュニティー「完整社区」の整備が進んでいる。インフラ面の不足を解消すると同時に、高齢者のバリアフリーや子育てのニーズにも対応し、スマート技術も取り入れて快適な居住環境の提供を目指す。

  中国住宅・都市農村建設部などの部門が2022年、全国各地に向け「完整社区」の試験的整備を実施するとの通知を出し、23年に試験整備の対象となるコミュニティーを発表した。老朽化団地の再開発、高齢者施設や託児所の設立、電気自動車(EV)充電器の設置などの重点事業と合わせた取り組みが各地で始まり、住民の悩みや解決の難しかった課題の迅速な解決が図られている。

河北省唐山市にある団結里社区の公園で遊ぶ子どもと保護者。(11月7日撮影唐山=新華社配信)

  河北省唐山市の団結里社区でも23年から「完整社区」の整備が進んでいる。1976年の唐山地震後に建設された最初のコミュニティーの一つで、整備に当たっては高齢者介護や託児、駐車、充電といった施設面の不足を補うことから始め、水道や電気、ガスなどのインフラを全面的にアップグレードした。さらに住民のニーズに応え、青果販売や飲食、理容などのサービスも追加。コミュニティー内の食堂では100人以上が同時に飲食でき、デリバリーサービスにも対応している。住民の杜(と)さん(75)は「食堂ができて電話一本で食事が届くようになった。味も良く、外で食べるより安い。高齢者向けの割引もありとてもありがたい」と話す。

  同省で新都市として開発の進む雄安新区でも、賢渓社区が「完整社区」構築の対象となり、同新区のコミュニティー整備の代表的な事例となっている。コミュニティー内の学校の周辺にゆったりした歩道を設け、子どもたちが安心して過ごせる空間をつくるとともに、周辺の住宅や公園、活動場所をつなぎ、高齢者がバリアフリーで移動できる快適な生活空間を創出した。デリバリーや宅配便の配達員や清掃員、配車タクシーの運転手など、各種サービス業従事者が休憩や水分補給をできる場所も設け、すでに延べ3万5千人にサービスを提供した。

河北省雄安新区にある賢渓社区の高齢者サービス施設でビリヤードに興じる住民。(4月23日撮影雄安=新華社記者/王美祺)

  江西省上饒(じょうじょう)市の万達社区は、周辺の生活サービス業資源を活用し、コミュニティーをグリッド化してスマートなサービスプラットフォームを構築している。一人暮らしの高齢者にはこのプラットフォームに登録すると、スタッフによる遠隔の見守りサービスを受けることできる。コミュニティー内のモニタリング設備で24時間以上の出入りが確認できなければ、システムからアラームがスタッフのスマートフォンに送信される仕組みだ。

  コミュニティーは住民の生活や都市建設、社会運営の基本単位となる。「完整社区」づくりは都市の小規模な再開発の一形態であり、質の高い持続可能な都市発展を推進する重要な役割を果たしている。より全面的で持続可能な「完整社区」を形成するため、いっそう科学的なメカニズムを構築するなど、今後もさらなる取り組みが求められる。(記者/沈氷潔)

福建省福州市岳峰鎮の鳳林社区で行われた全年齢向け公園「全齢友好楽園」の開園式。(9月13日撮影福州=新華社配信)

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