中国などの研究者、銀河のバルジ形成の謎を解明
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中国などの研究者、銀河のバルジ形成の謎を解明

新華社 | 2024-12-11 16:43:13

   初期宇宙のスターバースト銀河におけるバルジ形成のイメージ図。(南京=新華社配信)

 【新華社南京12月11日】中国江蘇省南京市の中国科学院紫金山天文台は5日、同天文台の学者が主導する国際研究チームが、サブミリ波観測の大規模サンプルデータに基づき、はるか遠い初期宇宙のスターバースト銀河の中心核でバルジ(銀河の中心部にあるふくらみ)が形成された確かな証拠を始めて発見したと発表した。今回の発見は、銀河の形成と進化の理解に新たな視点を提供する。研究成果は同日、英科学誌ネイチャー電子版で発表された。

   宇宙形成の初期段階では、スターバースト銀河と呼ばれる特殊な銀河が広く存在し、猛烈なスピードで新たな星を生成するとともに、すさまじい勢いで超新星爆発を引き起こし、最終的には銀河の中心に超大質量ブラックホールを形成した。大部分の銀河の中心には多数の恒星が密集したバルジと呼ばれる領域があるが、その構造の形成メカニズムは天文学の謎の一つとされてきた。

   研究チームは今回、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(アルマ望遠鏡)の高空間分解能と高感度データに基づき、初期宇宙の大質量スターバースト銀河群のダスト放射特性を詳細に測定。これらの銀河の赤方偏移は、多くの銀河が大規模な星形成活動を行っていた「宇宙の正午」と呼ばれる約80億~120億年前までさかのぼることができた。

   研究チームは、大多数のサンプル銀河の中心領域が従来考えられていた扁平な円盤構造ではなく、バルジ構造を形成している可能性が高いことを発見した。

   宇宙流体力学シミュレーションでは、銀河への冷たいガスの降着と銀河間の相互作用によって誘発された激しい星形成活動がバルジ形成の主な要因の可能性があることが示された。このプロセスは初期宇宙ではごく一般的にみられるという。

   論文の筆頭著者、紫金山天文台の談清華(だん・せいか)副研究員は、新たな研究が銀河の形態と進化を知るための重要な一角を切り開いたとし「銀河の中心で起きた激しい星形成活動がバルジに似た構造を直接形成した。これらのバルジは銀河の形態と進化を直接主導し、最終的にわれわれがよく知る楕円銀河を形成した可能性がある」と述べた。将来さらに先進的な観測装置が使われるようになれば、初期宇宙の銀河形成のイメージがより鮮明になり、宇宙全体の進化に対する理解も深まるとの見方を示した。

   今回の研究は、紫金山天文台を筆頭機関とし、フランスの原子力・代替エネルギー庁(CEA)-パリ・サクレー大学センター、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構などが参加した。

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