ライブ配信に出演する延辺歌舞団の団員。(9月3日撮影、延吉=新華社配信)
【新華社長春11月27日】中国では最近、劇団員の役者らを中心にライブ配信などで伝統芸術の普及を拡大する動きが広まっている。吉林省延辺朝鮮族自治州の延辺歌舞団に所属する呉愛玲(ご・あいれい)さんは「95後」(1995~99年生まれ)世代の若きアーテイスト。一日の練習や収録の仕事を終えた後、ライブ配信を行い伝統民謡の美しい調べを多くの人に届けている。
呉さんは2020年に延辺大学芸術学院を卒業し、同歌舞団に入団した。同じ頃、観客のニーズの変化やニューメディアの台頭に伴い、文化・芸術団体は相次いで表現手法の転換を試み、所属役者にオンラインでのパフォーマンスに挑戦し、伝統芸術の普及を拡大するよう奨励するようになった。呉さんも歌舞団のサポートを受けながら、グループで配信を始めた。やがて個人でもライブ配信を開始し、より多くの人に延辺民謡と朝鮮族の舞踊の魅力を伝えている。
統計によると、動画投稿アプリ「抖音(ドウイン)」での音楽・舞踊などの舞台芸術系ライブ配信数は23年、前年比47%増の合計7143万回に上る。1配信当たりの平均視聴者数は延べ4263人で、中規模の公演19万回に相当するライブ配信が毎日行われたことになる。中国の国家1級俳優111人も「抖音」でライブ配信を開始。配信数は前年比83・5%増の1万9350回に上った。
呉愛玲さんのアーティスト写真。(資料写真、延吉=新華社配信)
浙江大学国際コミュニケーション研究センターの呉飛(ご・ひ)主任は、劇団の若手役者はライブ配信で自らの才能を披露する機会を見つけ、視聴者の賞賛と支持を得ていると指摘。「芸術の進歩には切磋琢磨と交流が必要で、より多くの劇団にライブ配信への参加を奨励し、ネット上の芸術人材の育成と発展を推進すべきだ」と語った。
呉さんは最近、中央民族楽団(北京市)所属の演奏家とコラボ配信を行った。呉さんが延辺歌謡曲「金達莱」を歌うと、楽団の演奏家が伴奏に参加した。呉さんは「異なる地域、異なるスタイルの音楽が時空を超えて出合い、化学反応を起こした。視聴者の反応も上々で、多くの支持と励ましを受けた」と語った。
グループや個人でのライブ配信を重ね、専門技術を磨き続けた呉さんは、多くの舞台に出演する機会を得て、今年、正式にソリストとなった。無限の可能性を秘めた未来を見据え、呉さんは「より大きな舞台で、多くの創作の方向性を模索し、さらに多くの人に故郷の歌謡を届けたい」と夢を語った。(記者/孟含琪、金津秀)