青海省称多県で11月に上演されたチベット劇「ケサル王伝」の一場面。(西寧=新華社配信)
【新華社西寧11月27日】中国青海省ケサル史詩保護研究センターはこのほど、同省が数年にわたり6億8400万元(1元=約21円)を投じ、ケサル文化保護・建設プロジェクト197件を推進してきたと明らかにした。学界の専門家から民間の説唱(歌い語る演芸)芸人まで、政策、資金面での支援から教育システムへの導入に至るまで、中国は叙事詩「ケサル王伝」の保護に力を入れ続けている。
青蔵高原で千年にわたり語り継がれてきた「ケサル王伝」は、「世界最長の叙事詩」と呼ばれ、ケサル王が妖魔を退治し、弱きを助け強きをくじき、部族を統一し、最終的に天国に戻る英雄伝奇になっている。
青海省称多県で11月に上演されたチベット劇「ケサル王伝」の一場面。(西寧=新華社配信)
同センターのワンチェン・ツェリン副研究員は、同省には現在、社会科学研究基金プロジェクトが13件設置され、「ケサル王伝」の中の伝統的な民俗文化研究、生態文化研究など多くの分野を対象に、さまざまな角度から詩が内包する意味を深く掘り下げていると紹介した。
このほか、研究者は手書きの写本、木版画、口述など原資料114点を収集、整理し、説唱芸人200人余りを見つけ、登録した。こうした貴重な文化資源をよりよく保存するため、「ケサル王伝」説唱音声・映像資料データベースを構築し、代表的伝承者、ベテラン説唱芸人などの姿を映像に記録し、無形文化財伝承者認定申請も積極的に行っている。
青海省班瑪県で研究調査を行うケサル史詩保護研究センターの研究員。(2020年9月撮影、西寧=新華社配信)
研究者は、「ケサル王伝」と派生文化を反映したタンカ(チベット仏教の仏画)、チベット劇、チベット刺しゅうの絵巻、衣装、石刻なども全面的に保護している。
「ケサル王伝」の伝承と普及については、省内外の大学や研究機関との協力を強化し、共同での人材育成の仕組みを構築してこれまでに3300人余りが研修を受けた。同時に、伝承者スタジオ11カ所と伝統工芸基地14カ所を設立し、伝承活動に専門的なプラットフォームを提供している。
「ケサル王伝」は2006年に第1次国家級無形文化遺産リストに、09年9月には国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に登録された。(記者/白瑪央措)