【新華社北京11月24日】中国南方地域の水を北方地域に送る「南水北調」プロジェクトの東ルート第1期プロジェクトは2013年11月の通水以来、長江から引いた水の量が累計で約450億立方メートルに達し、沿線の人々の生活を大きく改善し、経済と生態系に良好な利益をもたらしている。プロジェクトを運営する企業、中国南水北調集団東線がこのほど明らかにした。
同社給水センター本部の侯煜(こう・いく)副主任によると、東ルート第1期プロジェクトの幹線水路の全長は延べ1467キロで、長江本流の水を北方地域に送るルートとなる。江蘇省における水路2本での送水の実現、山東省でのT字型幹線水路網の形成、天津市や河北省で水の安全保障強化に役立ち、江蘇、山東、安徽3省の地級市21市71県(市・区)の生活・工業・環境用水を補充するという目標を達成している。
同プロジェクトは華北地域に広がる黄淮海地域(黄河、淮河、海河流域)の水資源不足を大きく緩和した。受水エリア内の都市では生活・工業用水の確保率が80%未満から97%以上に上昇した。
河川・湖の生態環境の改善も促進した。24年9月末時点で河北、天津への水供給量は6億7500万立方メートル、浙江省杭州と北京を南北につなぐ京杭大運河への水の補給量は5億7100万立方メートルに達した。水路沿線のモニタリング対象となる各断面の水質は「優良(基準5段階のうち上から1~3段階)」を維持しており、環境容量と環境収容力が大幅に向上した。
南北の経済循環の円滑化にも寄与している。京杭大運河の航行区域は年間877キロとなり、江蘇の金宝航路、徐洪河などの河川では通航の基準や等級などが上昇し、1千~2千トン級の船舶が山東の東平湖から長江まで滞りなく航行できるようになった。
侯氏は今後について、東ルートの後続プロジェクトの準備作業に力を入れ、企業と地方間の連携を強め、第1期プロジェクトの総合的な効果を着実に高めていく方針を示した。