第25回ハルビン氷雪大世界パークで遊ぶ観光客。(2023年12月17日撮影、ハルビン=新華社記者/劉赫垚)
【新華社ハルビン11月18日】氷雪資源に恵まれた中国黒竜江省はここ数年、新たな成長産業として氷雪経済の発展に力を入れている。ウインタースポーツや氷雪文化、氷雪設備、氷雪観光といった産業チェーン全体の発展を加速させ、「冷たい資源」を「熱い経済」に変える取り組みを続けている。
同省は今月8日に新たな冬の氷雪観光「100日行動」を始動した。「100日行動」は、氷雪観光に持つ同省の優位性を高めるための行動計画で、同省政府が先月発表した。同省文化・観光庁の何晶(か・しょう)庁長によると、観光商品、観光客向けの飲食や宿泊施設の改善を進め、観光客により快適な観光体験や安全な旅行環境を提供するという。
今冬のハルビン氷雪大世界(ハルビン氷祭り)の会場面積は昨年の81万平方メートルから100万平方メートルに拡大され、再びギネス世界記録を更新する見込みとなっている。
新たな氷と雪の季節を迎え、「氷城(氷の都)」と呼ばれる牡丹江市では、鏡泊湖の「冬捕(凍った湖に穴を開けて魚を捕る伝統漁)」プロジェクトを立ち上げる計画で、野外劇やパフォーマンスと千年余りにわたって受け継がれてきた「冬捕」文化を融合させる。
観光客の増加が経済成長を大きく押し上げている。統計によると、昨年11月から今年2月までに同省を訪れた観光客数は前年同期比3・2倍の延べ1億2千万人、観光収入は6・5倍の1711億9700万元(1元=約21円)と、いずれも過去最高を更新、国内の消費を力強く押し上げ、市場を活性化した。
ウインタースポーツも年々人気が高まっている。さまざまな氷雪消費の新たなシーンが次々に生み出され、氷雪産業は成長に向けた絶好の機会を迎えている。省内にある大手氷雪設備メーカー各社は、待ちに待ったシーズン到来に向け、万全の準備を進めている。
同省佳木斯(ジャムス)市のオートバイメーカー、同江赫哲戦騎実業の工場内では、各種スノーモービルが一面に並んでいる。張春雪(ちょう・しゅんせつ)総経理補佐によると、同社は国内の氷雪経済の発展や外部市場の需要に応じて、新製品の研究開発や市場開拓に引き続き力を入れており、年々受注が増えているという。
同省では、氷と雪がさらなる可能性を生み出している。ここ数日、めっきりと冷え込んだことから、ロシアとの国境にある黒河市には、毎年恒例の自動車の寒冷地試験を行うため、全国各地から自動車検査員が続々とやって来ている。中国自動車大手、第一汽車集団は1989年に、他社に先駆けて同市でトラック「解放」の寒冷地試験を行った。30年余りを経て同市での自動車試験の種類や試験範囲は拡大し、訪れる関係機関や車両、人員の数も増えている。
黒河市工業・情報化局の劉興明(りゅう・こうめい)副局長によると、同市は高地・寒冷地試験産業を氷雪経済発展の新たな軌道に乗せ、これまでに3回にわたって黒河寒冷地自動車試験祭りを開催、成功させてきた。氷雪関連の観光商品や観光ルート、各種文化・観光イベントを企画し、関連産業を6億元の増収につなげ、自動車試験を観光、文化、現代サービス産業の融合発展へと拡大させた。
同省は22年3月、氷雪経済の質の高い発展の促進に向け、「黒竜江省氷雪経済発展計画(2022~30年)」と「黒竜江省の氷雪経済発展を支援する若干の政策措置」を通達した。寒冷地の氷雪経済の発展や氷雪産業が生み出す利益の拡大、同省の全方位的な振興に向け、政策面から後押ししている。(記者/劉赫垚)