【新華社北京11月9日】中国外交部は8日、フィリピンが「海域法」と「群島航路法」を成立させたことを受け声明を発表し、中国の領土主権と海洋権益への重大な侵害であり、強く非難し、断固反対するとした。声明の全文は次の通り。
一、フィリピンの「海域法」は、中国の黄岩島と南沙群島の大部分の島礁および関連海域を不法にフィリピンの海域に組み入れ、南中国海仲裁裁判の不法裁定の固定化を国内立法の形でもくろむものだ。この動きは、南中国海における中国の領土主権と海洋権益への重大な侵害であり、中国はこれを強く非難し、断固として反対する。南中国海における中国の領土主権と海洋権益は、同法の成立によっていかなる影響も受けることはない。
二、中国は南沙群島と周辺海域、黄岩島を含む中沙群島と周辺海域に対して主権を有しており、関連海域に対する主権的権利と管轄権を有している。中国のこれらの領土主権と海洋権益は十分な歴史的、法理的根拠を備えており、国連海洋法条約を含む国際法に合致している。
三、フィリピンの領土範囲は、1898年の「米西講和条約」(パリ条約)、1900年の「フィリピンの離島割譲に関する米西条約」(ワシントン条約)、1930年の「英領北ボルネオ州と米領フィリピンの境界画定に関する条約」など、一連の国際条約により画定されている。中国の黄岩島と南沙群島はフィリピンの領土外にある。フィリピンが中国の南沙群島の馬歓島、費信島、中業島、南鑰島、北子島、西月島、双黄沙洲、司令礁を不法に占拠していることは、国連憲章を含む国際法に著しく違反している。フィリピンは約束に背き、軍艦を派遣して中国の南沙群島の仁愛礁に長期にわたり不法に「座礁」させ、中国の領土主権を侵害し、「南中国海各国行動宣言」、特に第5条の「無人の島礁で居住行動を取らない」という規定に違反している。中国は改めてフィリピンに対し、これらの島礁から全ての人員と施設を即時退去・撤去させ、仁愛礁に不法に「座礁」させている軍艦を直ちに撤去するよう促す。フィリピンが自国の領土を越えて設置したいわゆる「カラヤン群島」は、中国の領土主権を侵害しており、違法で無効である。
四、フィリピンが中国政府の同意なく一方的に南中国海仲裁案件を提起したことは、国連海洋法条約の規定への深刻な違反であり、国連海洋法条約の完全性と権威を著しく損なうものである。南中国海仲裁案件の仲裁裁判所は権限を越えて審理し、法を曲げて裁判し、下した裁定は国連海洋法条約を含む国際法に違反しており、不法であり、無効である。中国は仲裁を受け入れず、参加もせず、いわゆる裁定を受け入れず、認めず、裁定に基づくいかなる主張や行動にも反対し、受け入れない。南中国海における中国の領土主権と海洋権益はいかなる状況においてもこの裁定の影響を受けない。
五、フィリピンは、国連海洋法条約の履行を名目に、いわゆる「海域法」を成立させることで、南中国海における違法な主張と行為の正当化を試みようとしているが、これは不法であり、無効である。この法律は「南中国海各国行動宣言」に著しく違反しており、南中国海情勢のさらなる複雑化を避けられない。フィリピンが同法を根拠に南中国海でとるいかなる権利侵害や挑発行為にも、中国は断固として対応する。
六、中国はフィリピンに対し、中国の領土主権と海洋権益を確実に尊重し、争いの拡大と情勢の複雑化を招く可能性のあるいかなる一方的な動きも直ちにやめ、南中国海の平和と安定を確実に守るよう促す。
七、フィリピンの「群島航路法」は多くの点で、国際法の規定や国際海事機関の決議と一致しない。中国はフィリピンに対し、国際法を確実に順守し、国連海洋法条約を含む国際法に基づき各方面が有する合法的権利を損なわないよう求める。