【新華社武漢11月7日】中国の華中農業大学(湖北省武漢市)は、同大の綿花遺伝改良チームが種類の異なる綿繊維の品質を形成する遺伝子制御の共通性と分岐のモジュールを解析し、綿花の生物育種で優れた遺伝資源を正確に創出する新たな道筋を切り開いたと発表した。種間の標的遺伝子浸透による繊維品質の改良実現を支援するとされ、論文は国際的学術誌ネイチャー・ジェネティクスに発表された。
論文の筆頭著者、同大作物遺伝改良国家重点実験室の李健英(り・けんえい)博士研究員(ポストドクター)は、中国で現在栽培されている綿花は主に異質四倍体種の高地ワタだが、20世紀以前に長く栽培されていたのは二倍体種のキダチワタだったと紹介。二倍体種のキダチワタと異質四倍体種の高地ワタの遺伝資源を比較研究し、種間で並行選択および特異利用される遺伝子を発掘することが、異質四倍体種の高地ワタの遺伝的多様性を広げ、繊維品質を高める重要なアプローチになると説明した。
二倍体種のキダチワタと異質四倍体種の高地ワタの繊維品質性状に関する遺伝構造の比較。(武漢=新華社配信)
研究チームはキダチワタ材料216点から15点を選んでPacBioシーケンシングを行ったほか、高地ワタ材料3606点から系統樹や表現型変異、地理分布などに基づき一部の半野生種と栽培種の材料を選んでシーケンシングを実施。キダチワタ15点と高地ワタ35点のゲノムを組み立て、それぞれで遺伝子と構造変異に基づくパンゲノムを構築した。これをもとに高地ワタの半野生種から栽培種へのモザイクゲノムマップを解析し、半野生種から栽培種への変動が大きい遺伝子浸透のホットスポットを判別した。
李氏は、ゲノム構造の変異が高地ワタ半野生種から栽培種へと浸透するゲノムマップを解析し、繊維の品質を制御する大多数の遺伝子座がキダチワタと高地ワタでそれぞれ存在することを発見したと説明。繊維品質を制御する遺伝子座の差異が両者間で大きいことを示唆しており、将来的にキダチワタが持つ優れた変異体を高地ワタの繊維品質改良に用いるターゲットがもたらされたと語った。(記者/侯文坤)