エジプト・スエズ県の中国・エジプトTEDAスエズ経済貿易協力区にある総合サービスビル。(2023年8月10日撮影、カイロ=新華社記者/隋先凱)
【新華社カイロ11月4日】エジプトの中国・エジプトTEDAスエズ経済貿易協力区が2008年に開設されて以来、中国の建設事業者は地元に深く根を張り、東洋の都市開発の経験をエジプトにもたらし、現代的なグリーン(環境配慮型)新都市の建設を支援している。同プロジェクトは、1984年に中国で設立された天津経済技術開発区の英語の頭文字を取って、エジプトでは「TEDA」と呼ばれている。
天津泰達投資控股と中国・アフリカ発展基金が共同で設立し、海外工業団地の開発・建設を手がける中非泰達投資の李代新(り・だいしん)董事長は「今年、TEDAでは200組近い視察団を受け入れ、数十社の企業を誘致した。最近も総投資額10億ドル(1ドル=約152円)を超える6件のプロジェクトが調印された。われわれは『暮らしやすく、働きやすい新産業都市』を作り上げている」と述べた。
TEDAにちなんで名付けられた協力区は、20年以上前に天津とエジプト・スエズが結んだ縁から誕生した。スエズ地域は紅海を東に臨み、地理的位置や地質環境が天津開発区とよく似ている。中国の開発区の急速な発展に感銘を受けたエジプトは、スエズに開発区を建設する際、中国の支援を望んだ。
エジプト・スエズ県に位置する中国・エジプトTEDAスエズ経済貿易協力区。(2023年8月10日撮影、カイロ=新華社記者/隋先凱)
2008年、中国商務部の承認を経て、国家級境外経済貿易協力区のTEDA協力区が正式に設立された。中非泰達投資は中国側の投資・運営の担い手として、新プロジェクトで主導的な役割を果たすようになった。
現在、TEDA協力区は新型建材、石油設備、高低圧受電設備、機械製造の四つの主導的な産業クラスターを形成し、多くの世界トップクラスの中国企業が進出している。
TEDA投資の胡浩(こ・こう)総経理は「中国の多くの産業とエジプト現地の資源に恵まれた立地調整との組み合わせは、将来の産業発展に対するエジプトの要求と願望に合致している」と述べ、エジプト自体に新エネルギー、新素材、グリーン・環境保護産業への比較的大きな需要があり、中国の産業が海外で発展するために広大な空間を提供してくれるとの見方を示した。
エジプト・スエズ県の中国・エジプトTEDAスエズ経済貿易協力区で、拡張エリアの建設現場を視察するエジプトTEDA特区開発のナフラ・エマド最高経営責任者(CEO)。(2023年8月10日撮影、カイロ=新華社記者/隋先凱)
ガラス繊維および製品の生産・販売などを手がける中国巨石集団が投資・設立した巨石エジプトガラス繊維(巨石エジプト) は、TEDA協力区にいち早く進出した企業の一つであり、独自の知的財産権を持つガラス繊維生産技術一式をエジプトに導入し、現地の生産能力を向上させた。同社は、元々ガラス繊維生産国ではなかったエジプトを一気に世界第4位のガラス繊維生産国に成長させ、エジプトの川上の鉱物原料と包装資材の発展をけん引し、現在では原材料の95%をエジプトで調達している。エジプトTEDA特区開発のナフラ・エマド最高経営責任者(CEO)は、進出した中国企業はエジプトの関連産業の技術レベルを向上させ、地元産業の空白を埋めてきたと話す。
エジプト・スエズ県の中国・エジプトTEDAスエズ経済貿易協力区にある美的集団エジプト厨房・温水器の食洗機生産ラインで働く従業員。(2023年8月10日撮影、カイロ=新華社記者/隋先凱)
今年8月、多くのエジプト高官の立ち会いの下、中国家電大手の海信集団(ハイセンス)のエジプトテレビ工場プロジェクトの調印式が行われた。企業170社以上が進出し、累計売上高は49億ドルを超え、納税額は2億7千万ドルとなり、産業の主導により約7万人分の雇用を創出。スエズ運河の南、紅海の沿岸では現在、中国とエジプトが共同で建設した産業パークが日増しに台頭しており、地元の新たな「経済成長の極」になろうとしている。(記者/毛振華、楊文)