空から見た義烏国際商貿城。(9月6日、ドローンから、杭州=新華社配信/何錦程)
【新華社杭州11月1日】「世界の雑貨の町」と呼ばれる中国浙江省義烏市の卸売市場には7万5千店が出店し、1日当たり20万人を超える客が訪れる。市場に集まり世界に販売される商品は210万種に上り、210万社以上の中小零細メーカー、約3200万人の産業労働者を支えている。中国の貿易の力強い発展を映し出すこの場所では、新たなチャンスが絶えず生まれている。
市内の主要市場である義烏国際商貿城(義烏マーケット)に出店する「星宝傘業」では、晴雨兼用の「超軽量傘」がひときわ目立つ場所に置かれていた。店主の張吉英(ちょう・きつえい)さんによると、この傘の重さはわずか100グラム余り。手のひらサイズで、ハンドバッグや上着のポケットにも楽に入る。「100以上の国・地域に顧客がいる。毎週新商品を発売している」。商品を絶えず更新することが世界市場で戦うのに最も強力な「武器」になると語る。
義烏税関のデータによると、今年1~9月の同市の輸出入総額は前年同期比16・6%増の4998億8千万元(1元=約21円)。うち輸出は16・1%増の4410億9千万元、輸入は20・3%増の587億9千万元だった。
チュニジアの顧客に工具製品を紹介する義烏発現者進出口の艾彬(がい・ひん)販売部マネジャー(右)。(10月9日撮影、杭州=新華社記者/翁忻暘)
日用雑貨が中心だった義烏マーケットの取扱品も広がっている。昨年3月には同マーケットの二区東エリアに全国初となる新エネルギー製品に特化した市場が開業。260余りの事業者を呼び込み、200以上のブランドの1万品を取り扱う。新エネルギー車も10ブランド顔をそろえた。
浙江省経済・情報化庁のデータによると、義烏市の太陽光発電分野の生産額は昨年、805億元に上った。世界の太陽光発電モジュール出荷量トップ10社のうち6社が同市に拠点を設け、3社の年間生産額が100億元を超えている。
ここ数年は越境電子商取引(EC)が貿易の新たな成長分野になるなど、マーケティング方法も刷新が進んでいる。紙袋メーカー、浙江佰世特包装の義烏マーケットの店舗では、店の責任者である鄒英(すう・えい)さんがさまざまな言語で自社の商品を紹介する動画が放映され、多くの業者が足を止めてみていた。動画は、マーケットを運営する浙江中国小商品城集団が人工知能(AI)技術を利用して開発した「Chinagoods AI智創サービスプラットフォーム」でつくったものだという。
義烏国際商貿城の店舗に置かれた商品紹介動画のディスプレー。人工知能(AI)で作った各種言語による紹介が見られる。(杭州=新華社記者/江漢)
統計によると、同プラットフォームは運営開始から1年間ですでに2万人の事業者に利用され、新たな顧客64万人からのフォロー獲得を促進。事業者と顧客とのコミュニケーションの難題を解決し、コスト節約にもつながる。商品展示の効率を10倍に高め、事業者のコストを35%削減したほか、AIを十分に活用する事業者には20%を超える注文増をもたらした。
工具製造販売業者、義烏発現者進出口が義烏マーケット二区に出店した店舗では、艾彬(がい・ひん)販売部マネージャーがチュニジアの顧客に製品を紹介していた。ドライバーの国内販売から身を起こした同社は、貿易へと事業を転換し、自社ブランドも立ち上げ、国際市場に少しずつ根を下ろしてきた。昨年はアフリカ5カ国、中東4カ国を訪問し多くの注文を獲得。「エチオピア市場では1~9月の貿易額が昨年の1・5倍になった」と艾氏は語る。
企業が自ら海外進出を図ると同時に、義烏の側も海外での分市場や倉庫、拠点、展示施設の設立、展示会の開催など、20カ国・地域で40以上の海外進出支援プロジェクトを展開。海外のプロバイヤー2千人以上とのマッチングを実現するとともに、5千社近い業者の海外市場開拓を支援してきた。(記者/林光耀)