18日、天津市河東区老年大学で声楽講座で学ぶ学生。(天津=新華社記者/黄江林)
【新華社天津10月25日】中国民政部と全国老齢工作委員会弁公室がこのほど発表した「2023年国家老齢事業発展に関する公報」で、国内の60歳以上の高齢者人口が23年年末時点で2億9700万人と総人口の21・1%を占めたことが明らかになった。高齢者人口の割合が高まるにつれ、ますます多くの高齢者が生涯学習プログラムに参加し、充実した老後の生活を送っている。
高齢者向け大学、天津市河東区老年大学の周麗萍(しゅう・れいへい)校長は「毎学期の申し込み人数は延べ千人で、ピーク時には一度に6千人余りに上った」と語った。
日増しに高まり、多様化する高齢者の学習ニーズを満たすため、同大学では今年130余りの講座を開設。書道や絵画、声楽、ダンスなどの芸術科目から、太極拳やヨガなどの運動科目、スマートフォンアプリの使い方や焼き菓子作りといった実用科目まで、あらゆる分野を網羅した。
18日、天津市河東区老年大学の中国画講座で学ぶ学生。(天津=新華社記者/黄江林)
湖北省襄陽(じょうよう)市南漳県でも同じような状況が見られる。地元の老年大学では学生募集の時期になると入り口に長蛇の列ができ、講座の定員が「秒で埋まる」現象がしばしば話題になる。同大学の陳倫玉(ちん・りんぎょく)副校長は「申し込み希望者は年々増加している。今年は募集通知を出してから3日で800人余りに達した」と語り、揚琴やエレクトーン、書道、撮影などの講座は即座に定員に達し、1クラス開設する予定だったダンス講座は2クラスに拡大したと紹介した。
中国の高齢向け教育事業はここ数年急速に発展しており、既に世界最大規模の高齢者大学、高齢学習者集団を有している。国内には各種の老年大学が7万6千カ所あり、2千万人以上が学んでいる。
高齢化人口比率の高まりを受け、高齢者向け教育市場に参入する企業はますます増加、特にオンライン市場の好調さが目立っている。
18日、中国の伝統楽器、古筝(こそう)を練習する天津市河東区老年大学の学生。(天津=新華社記者/黄江林)
オンライン学習サイトでは、ライブ配信や動画、ソーシャルコミュニティーなどを通じた教育モデルが続々と登場し、多くの高齢者が在宅で専門的な研修や指導を受けられるようになった。中国の短編動画アプリ「快手(クアイショウ)」が今年発表した関連報告によると、オンラインで学ぶ中高年者は約3500万人、うち有料で学ぶ人は約1785万人に上ったことが明らかになった。
一部の業界関係者は、多くの企業が高齢者教育産業に参入するのは、シルバー経済市場の巨大な潜在力を見込んでいるからだと指摘。対面教育にしてもオンライン研修にしても、教育の背後には研究学習や観光、医療といった領域のサービスが存在する可能性があり、高齢者教育はそこから派生するサービスへと誘導する入り口の一つになっているとの見方を示した。(記者/毛振華、黄江林)